【専門職向け】下腿傾斜角って何?(評価方法、立位や歩行時の変化など)
今回は、下腿傾斜角についてまとめていきます。
下腿傾斜角とは、文字通り下腿が傾斜している角度のことをいいます。
下腿の傾斜角度は、隣接している足部や膝とも大きく関係しているので、足部や膝の疾患のクライアントの治療を行う方は是非ご覧になって下さい!!
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●この記事の信頼性
▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:7年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識があります。
▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。
●このブログをみて得られるメリット
・下腿傾斜角の測定方法が分かる
・下腿傾斜角がその他関節に及ぼす影響を文献でまとめて見れる
目次
・下腿傾斜角とは❓
・文献まとめ
・まとめ
・下腿傾斜角とは❓
▶︎言葉のとおり、『下腿が傾斜している角度』ですね。
下腿の傾斜は、内外側・前後方向いずれにも言えますので、
前に傾斜していても下腿傾斜角
外側に傾斜していても下腿傾斜角
といいます。
そのため、文献等を読む際は少し注意がいりますね。(文脈や測定方向を考慮したら、まず間違えないとは思いますが。笑)
▶︎ちなみに前額面上からの観察では、
・下腿長軸
・床への垂直線
▶︎矢状面上からの観察では
・腓骨への垂直線
・床面と平行な線
これらが基準の軸になります。
ではさっそく、下腿傾斜角について記載されている文献をまとめていきます。
・文献まとめ
※ややこしいので、前額面と矢状面で分けて記載します!
【前額面】
※略語について
▶︎LA(床 への垂直線と下腿長軸がなす角)
▶︎HA(床への垂直線と踵骨が なす角)
▶︎LHA(下腿長軸と踵骨がなす角)
▶︎MLA(床面と内外 果頂点を結ぶ線がなす角)
▶︎下腿長軸と内外果傾斜の相対的角度 として LMLA(下腿長軸への垂直線と内外果頂点を結ぶ線がな す角)
【LHAとLA】
▶︎LHA は距骨下関節に反映され、LA が増加するほど距 骨下関節が回内する傾向にあった。
▶︎したがって、LA 増加は HA ではなく距骨下関節に影響するものと考えられる。
▶︎LA 増加は MLA ではなく LMLA 減少を示した。
▶︎これらの関係から下腿傾斜 に対する後足部アライメントの評価は、床面に対する位置関係 ではなく下腿長軸に対する位置関係を評価する必要性を示して いる。
▶︎LA 増加に伴う LMLA 減少は距腿関節機能軸に影響を与 えると考えられる。
▶︎足関節・足部は 1 つの機能ユニットとして作 用し、下腿傾斜に伴う距腿関節機能軸変化は距骨下関節を介し 前足部へも波及する。
▶︎今回の結果から膝OA症例のLTと足部機 能障害に対し、距腿関節機能軸変化の影響が示唆された。
引用
加藤ら:下腿傾斜角と後足部アライメントの関係
(2007)
【膝OA とLA】
▶︎膝 OA 群について詳 細にみると grade4・5 では LA 増大による回内傾向が強いが、grade1 ~ 3 では回内外にばらつきがみ られた。
▶︎LMLA に関しては統計学的に有意な関係はなかったものの、健常群と膝 OA 群の grade1 ~ 3 では LA 増大による LMLA 減少つまり足関節軸傾斜の減少傾向と、grade4 ・ 5 では足関節軸傾斜の 増加傾向がみられ、この足関節軸傾斜の変化は距骨下関節を介し前足部へも影響を与えると考える。
▶︎また、内反変形に反映すると考えられる LA は、grade が進行するほど値が大きくなるとは限らない ことが確認された。
引用
加藤ら: 下腿傾斜角と後足部アライメントの関係(第 2 報) —変形性膝関節症症例と健常者との比較—(2008)
【LA 歩行】
▶︎下腿傾斜の経時的な運動は、外側方向への運動のピークを生じる時期により 3 タイプに分類できた
▶︎5 名は立脚後期 まで徐々に外側へ動きそれ以降急激に内側方向へ動くタイプ、3 名は外側への運動が立脚中期で止まり徐々に内側方向へ動 くタイプ、1 名は立脚初期に外側へピークあり
▶︎LHA については、一般的には回外で接地し、衝撃吸 収のために回内方向へ動き、離地で回外方向へ動くと言われているが、本研究でも同様の運動を確認できた。さらに回内方 向への運動のピークを生じる時期により 3 タイプに分類できた。
▶︎LA と LHA のピーク時期には統計学的な関係性は認められなかったものの、9 名中 8 名は LHA のピークは LA のピークに 先立って生じていた。▶︎このことから、立脚相の前半では下腿傾斜の運動よりも踵骨の運動の方が大きく関与していると考え られる。
▶︎また、下腿傾斜の外側方向の変化量と LHA の回内方向の変化量には正の相関関係が認められた。
▶︎これは下腿傾斜が 大きい時に足部を床面に保つためにより大きな LHA 回内の運動が生じていると考えられる。
▶︎膝 OA 症例の歩行では lateral thrust が立脚初期や後期に観察できたり、立脚相で回内が強く生じる症例や回内運動がほとんど起こらず回外位の症例がみられ、lateral thrustに関与すると考えられる下腿傾斜やLHAの運動が特徴的であると言える。
▶︎先行研究で報告したように、健常者の静的な立位アライメントにおいても LA と LHA 回内に同様な正の相関関係が認められ たが、今回の動的な歩行分析では運動パターンに差異があることが確認された。
引用
加藤ら:下腿傾斜角と後足部アライメントの関係(第 3 報)
̶健常成人の歩行における分析(2009)
【矢状面】
【立ち上がり 下腿傾斜角】
▶︎片脚立ち上がりテストにおいて,座面高 10 cm から の立ち上がりが可能であった対象は,座面高 20 cm か らの立ち上がりまで可能であった対象と比較し,下腿傾 斜角度および SLSD が有意に大きく,足関節柔軟性が 高く,静的バランスが優れていることが示唆された.
▶︎低い座面からの立ち 上がり動作では離殿時の重心移動速度は上下方向より前 後方向に大きいという報告 もあり,下腿傾斜角度 が小さいことで質量中心を支持基底面上に運ぶまでの仕 事量が増え,より多くの下肢筋力を要求されることが予想される.
▶︎よって下肢筋力には差がない対象であっても 足関節背屈方向への柔軟性低下が 10 cm 台からの立ち 上がり動作の可否に影響することが示唆された.
引用
高橋ら:若年サッカー選手における片脚立ち上がりテストに 関わる要因の検討(2018)
【中足骨パット 下腿傾斜角】
▶︎中足骨パット歩行は下腿傾斜角と膝関節屈曲角度の増加を生じさせることが示された.
▶︎歩行は 15% stance 付近にて立脚中 期へと移行し 50% stance 付近まで継続することが知られており,本研究の結果では,おおむね立脚中期での角度変化であった.
▶︎また,膝屈曲角度の変化はより早期に出現する傾向があった.角度変化を起こした理由として,支点の変化による「てこ の作用」が影響を及ぼしたと考えられた.
▶︎中足骨パットは,足長のおよそ中心にあるリスフラン関節よりも遠位に位置する.
▶︎パットによる支点がより遠位に存在することで前方への移動を制限し,後方に体重が残りやすくなる.
▶︎そのため足関節背屈 運動が起こり,下腿傾斜角と膝関節屈曲運動の増大へとつながったと考えられた.
▶︎楔状骨パットは、自然歩行との間に有意 な差は認められなかったが,中足骨パットとの関係においては有意に低下していた.
▶︎各被験者内での比較では,自然歩行よ り低値を示す例が多くみられ,楔状骨パットにて下腿傾斜角と膝関節角度が低下する可能性が考えられた.
引用
島田ら:中足骨と楔状骨レベルの横アーチに対する足底パットが歩行の立脚期に及ぼす影響 ̶矢状面上での下腿と大腿傾斜角および膝関節角度に着目して(2010)
【下腿傾斜角 ヒールパット】
▶︎立位での重心動揺測定において hhp (ハーフヒールパット)は重心の左右方向への成分が大きかった。
▶︎下腿傾斜角では hhp は明らかに前方へ傾斜 しており , それにともない重心位置も前方へ移行していると予測された。
▶︎しかし足長に対する踵部からの重心中心位置は有意な 差を認めず , 前額面動揺が有意に認められた。
▶︎これらは hhp 装着時踵骨隆起が押し上げられ , 立方骨は踵骨に対して下制し踵 立方関節は離開する。
▶︎第 5 列は外反し前足部横アーチは下降して支持機能面で開張足様の不安定な骨形態になる
▶︎したがって重心が左右方向へ分散されたと考えられた。
▶︎hhp の下腿傾斜角が他と有意に大きな値を示したことは ,hhp では踵骨隆起が押し上げられ距骨が前方へ傾斜し下腿が前方移動されたと考えられた。
▶︎足部縦アーチが伸張されたこ とにより後脛骨筋や腓骨筋群が伸張され内 ・ 外果が距骨に対して前方に押し出された結果 , 下腿傾斜角が拡大したとも考えられた。
▶︎反対に hp では踵骨粗面に起始部を持つ足底筋膜を押し上げ足部縦アーチを挙上して強固な足部構造となり下腿の前方移動を抑制した。
引用
岡部ら:踵骨部パッドが身体に及ぼす影響についての一考察
—ヒールパッドとハーフヒールパッドの比較検討—(2009)
・まとめ
▶︎文献でもふれられていましたが、下腿傾斜角は膝関節、距腿関節、距骨下関節に関与し、そこから連鎖して前足部にも影響するとのことでした。
▶︎そのため、その他のアライメント評価に加えて、下腿傾斜角はとても重要な評価であると思います!
▶︎調べれば調べるほど、足部周囲は複雑ですが、その分面白いですね!
▶︎少しでも今後の臨床の参考になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました!😁
※足部についてまとめて知識を得たいあなたは是非こちらをどうぞ↓
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※足部評価は単一の検査のみでなく、複数の評価をあわせて行うのが有効です。
下記の記事もお時間があればご参照ください↓
【leg heel angle(LHA)正常値・測り方は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/04/215103
【内側縦アーチ高率(MLA)って何?評価の方法は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/06/175851
【Navicular Drop test(NDT)方法や基準値は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/08/233750
【足部評価】Arch height index (AHI)って何?
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/10/180745
【専門職向け】外側縦アーチについて
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/14/230055
▶︎足部の評価も大切ですが、『正しい靴選びが出来ているか?』ということも大変重要です。 特に子供の頃は足の骨も完全に骨化していないので、特に靴選びが大切です。 子供靴についての知識も身につく子供靴のサイトを作成しましたので、お子さんがおられる方は是非ご覧下さい!😁
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【専門職向け】踵骨傾斜角について(測定方法は?)
今回は、足部を評価する上で重要な踵骨傾斜角についてまとめていきます。
足部アライメントの評価項目は多々ありますが、その中でもだいぶマニアックな評価かと思います。笑
しかし、この角度の評価とその他の評価を合わせて行うと、評価の信頼性も上がりますので、ぜひ最後までご覧ください‼︎
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●この記事の信頼性
▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:7年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識があります。
▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。
●このブログをみて得られるメリット
・踵骨傾斜角の測定方法が分かる
・踵骨傾斜角を測定する意味合いが理解できる
目次
・踵骨傾斜角とは❓
・なぜ踵骨傾斜角を測定するのか
・文献まとめ
・まとめ
・踵骨傾斜角とは❓
▶︎踵骨傾斜角とは、名前のとおり『踵骨が傾斜している角度』のことをいいます。
▶︎後額面上より、
・床面と垂直な線と
・アキレス腱中央を結ぶ線と踵骨中央から結んだ線
↑これらのなす角度を測定します。
▶︎詳細な肢位について明確に記載されたものは少ないですが、他の足部評価と同一の肢位で測定することが大切かと思います。
例えば、leg heel angleは
▶︎足の第2趾を正面に、左右の踵部を20センチ程度開けるようにして平行に立つ。
↑このように細かく設定して測定することが多いので、私自身は踵骨傾斜角についても同様の肢位で測定しています。
※詳細に設定した場合と自然立位では測定結果が異なります。
▶︎基本的には、検査ごとに肢位にばらつきがなければ、目的に応じて条件は変更しても問題ないかと思います。
・なぜ踵骨傾斜角を測定するのか
▶︎後額面上での足部アライメントの測定には、他にも
・leg heel angle(LHA)
・下腿傾斜角
などがあります。
ちなみにLHAは
・膝窩中央から踵骨上縁を結ぶ線を3等分した下1/3と、
・アキレス腱中央を結ぶ線と踵骨中央から結んだ線
をなす角度のことをいいます。
※LHAについての詳細はこちら↓
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/04/215103
また、下腿傾斜角は、
・床面と垂直な線と
・膝窩中央から踵骨上縁を結ぶ線を3等分した下1/3
↑これらのなす角度をいいます。
一見すると、これらの3つはほとんど同じ測定になるように感じますが、なぜわざわざ分けて評価する必要があるのでしょうか?
これについては様々な意見があるかと思いますが、個人的な見解としては、
『LHAの異常の原因を確定するため』
だと認識しています。
例えばひとえにLHAの異常といっても、
・下腿傾斜角が異常で踵骨傾斜角は正常
・踵骨傾斜角は異常で下腿傾斜角が正常
・下腿傾斜角、踵骨傾斜角いずれも異常
これらのパターンに分かれます。
つまり、どの部位による角度変化なのかを知るためには、個別的に踵骨傾斜角・下腿傾斜角も測定する必要があるということですね!
脚長差があった場合、大腿長・下腿長のいずれに左右差があるのか、詳細を検査する場合がありますよね。
それと同じで、足部アライメントもどの部位の異常かを把握しておく必要があります。
・文献まとめ
※踵骨傾斜角に絞った文献をまとめるのは困難であったため、近しい内容のものをピックアップしてみました!
【踵骨傾斜角 重心動揺】
▶︎踵骨外反傾斜角が大きい人、 内反小趾角が小さい人ほど、重心動揺が小さい傾向があることが示唆された。
▶︎踵骨外反傾斜角が大きくなると、足底と床との接地面が広がる。内反小趾角が小さいほうが、支持基底面が広くなり安定するため、重心動揺が小さくなるのではと推察する。
引用
入江ら:足部の形態と片脚立位時の重心動揺との関係性
【若年者とアライメント異常 LHA・HA】
▶︎若年者を対象にした本研究では,内田らと異なる結果を示した.
▶︎若年者において LHA の増大が認められなかっ た要因として,ショパール関節での代償が考え られた.前足部の異常な動きは後足部の異常な 動きによって代償可能とされている
▶︎高齢 者の足部と比較し若年者の足部では関節の可動 性が確保されており,内側縦アーチ低下が生じ 前足部と中足部が回内してもショパール関節で 回外したことで,踵骨の回内は生じなかったと 推察した.
引用
森下ら:若年女性における外反母趾の有無と 内側アーチおよび踵骨傾斜角との関係
【LHAとHAの関係性】
▶︎LHA は距骨下関節に反映され、LA (下腿傾斜角)が増加するほど距骨下関節が回内する傾向にあった。
▶︎したがって、LA 増加は HA (踵骨傾斜角)ではなく距骨下関節に影響するものと考えられる。
引用
加藤ら:下腿傾斜角と後足部アライメトの関係
— 内外果傾斜角と踵骨傾斜角に着目して —(2008)
【舟状骨パットによるアライメント変化】
▶︎パッドを高くするほど、アーチ高は高くなり、LHA、踵骨外反傾斜角が有意に小さくなるという結果が得られ、これは、内側縦アーチパッドにより舟状骨が持ち上げられることで踵舟関節を介して踵骨を回外させたためであると考える。
▶︎アーチ高が高くなると距骨下関節を介して下腿外 旋が生じ、Q-angleも変化すると考えられたが、Q-angleには有意差がみられなかった。
▶︎これは、 健常者ではアーチ高の変化のみでは下腿回旋はわずかであり、Q-angleの変化には及ばなかったためであると考える。
引用
橋本:舟状骨高と足部・膝関節アライメントとの関係について(2008年)
【踵骨傾斜誘導の効果】
▶︎足部の痛みやアライメントの構築を目 的とする足底板の報告では,母趾外反角の改善を認めた症例が報告されている
▶︎内側型変形性膝関節症に対する外側楔状板に関する報告では,機能的下肢軸の改善を認めたという報告や変形の程度によっては症状を悪化させる と報告されている。
引用
佐藤ら:楔状板を用いた踵骨傾斜が足部形態に与える影響
・まとめ
▶︎以上、踵骨傾斜角についてまとめていきました!
▶︎踵骨傾斜角のみでは足部アライメントの評価としては乏しいですが、その他の評価と合わせると信頼性が上がりますので、ぜひチェックしてみて下さい!!
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【内側縦アーチ高率(MLA)って何?評価の方法は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/06/175851
【Navicular Drop test(NDT)方法や基準値は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/08/233750
【足部評価】Arch height index (AHI)って何?
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/10/180745
【専門職向け】外側縦アーチについて
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/14/230055
▶︎足部の評価も大切ですが、『正しい靴選びが出来ているか?』ということも大変重要です。
特に子供の頃は足の骨も完全に骨化していないので、特に靴選びが大切です。
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【専門職向け】横アーチ 文献まとめ(測定・筋肉・メタターサルパッド・アーチサポート)
今回は、横アーチについてまとめていきます。
アーチといえば、内側縦アーチについては測定方法や文献が多数ありますが、横アーチについては少ないです。
今回は横アーチの計測方法からパッドの効果まで、文献を参考にまとめていきます。
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・横アーチの概要や測定方法がわかる
・横アーチについての文献をまとめて一気に見れる
目次
・横アーチとは?
・横アーチの測定方法(横アーチ高率)
・文献まとめ
・まとめ
・横アーチとは?
▶︎足のアーチには3種類あり、
内側縦アーチ
外側縦アーチ
横アーチ
これらに分かれます。
特に、横アーチは
・中足部
・楔状骨部
・後足部
などに細分化され、各部位にサポートを入れた際の効果などが検討されることもあります。
・横アーチの測定方法(横アーチ高率)
▶︎横アーチの測定方法には、横アーチ長率があります。
▶︎横アーチ長率とは、
第 1 ~ 5 中足骨頭の距離を足長で除して算出します。
▶︎足幅÷足長✖️100%=横アーチ長率
▶︎また、足幅と足長を計測し,足幅を足長で除した値に 100 を 掛けて開張率として算出した値が 40.9%以上は, 開張足の可能性があるとされています。
▶︎測定肢位については、
10%荷重、50%荷重、90%荷重などと設定すると、信頼性が増します。
また、座位・立位・下腿前傾位などの条件でも測定している文献が散見されますので、また興味のある方は参考にして下さい。
参考文献
・工藤ら:足部横アーチ測定方法の再現性に関する検討(2011)・清水ら:横アーチパッドの位置と足趾握力との関係
・文献まとめ
▶︎ではさっそく、横アーチについての文献をいくつかご紹介します。
【横アーチ その他足部異常との関係】
▶︎若年者における扁平足や外反母趾、開張足などの足部形態異常は相互に関係しており 、縦アーチ の異常が横アーチの異常に、横アーチの異常が縦アーチ や外反母趾角の異常につながる可能性が示唆された。
引用
笠野ら:大学生における履物および運動習慣が足部形態に与える影響(2016)
【横アーチ 年齢による変化】
▶︎足囲/足長比率,足幅/足長比率が大学生で有意に大きいという結果から,18 歳に達するまでに横アーチが破綻し,開張足となっ ている可能性が考えられる。
▶︎一方,舟状骨高/足長比率に有意差がないことから,18 歳までは内側縦アーチの破綻はないと考え られる。
引用
中井ら:小学生と大学生を対象とした足部・靴に関する横断的調査研究 横アーチに着眼した足部形状の比較
(2016)
【横アーチ 足趾の筋】
▶︎正常足と思われるNA型に対し中足骨横アーチの低下を示唆するLA型では、短母趾屈筋、短趾屈筋にお いて有意に筋力が低下していた。
▶︎つまり、これら筋群は体重負荷に対する横アーチの低下を、自身の筋力にお いて保持しきれない状態にあることが考えられた。
▶︎長母趾屈筋に関しては、横アーチが保持されているN A型と横アーチが崩れているLA型では、歩行の中で長母趾屈筋を駆動力として利用しやすいか否かの差から 生じたものと推察した。
引用
林ら:中足骨横アーチと足趾屈筋力との関係について
【横アーチ長率と外反母趾角】
▶︎内側縦アーチ高率と外反母趾角との間には負の相関,横アーチ長率と外反母趾角との間に正の相関があることが認められた
▶︎林らは,体重負荷により母趾列の外旋,第4,5趾列の内旋による横アーチの広がりが生じると報告している
▶︎年齢の増加に伴い,体重負荷による荷重量の増大や,筋・靭帯などの静的支持組織の弱化などにより,生理的な荷重許容能を超える負荷がかかる
▶︎荷重分散の力学的平衡性が崩れ,内側部への荷重負荷が増大、踵骨を回内させ,舟状骨の下降,第1中足骨の内転,基節骨の外転を引き起こしたと推察される
引用
今井ら:足部アーチと外反母趾角との関係性について
【横アーチ 前足部圧】
▶︎本研究の結果より M1M2 角、M1M5 角の増大により前足部中央圧 は低下することが示された。
▶︎横アーチは推進期に剛性を高めテコと して機能するため、横アーチの低下により蹴り出しが不十分になっ たと考える。
引用
田中ら:関節リウマチ患者の足部アーチ構造と歩行時足底圧の 検討 - 前足部ピーク圧に着目して -
【開張足 筋活動】
▶︎後脛骨筋の筋活動では正常足と開張足問において有意差は認められず
▶︎母趾外転筋は正常足103±65% 開張足79±32%と開張足は有意に低かっ た(p<0、05)。
▶︎開張足における後脛骨筋の筋活動は舟状骨パッド未使用時平均129±66%、舟状骨パッド使用時平均53士 13% と有意に低 下
▶︎先行研究におい て我々は、正常足におけ る後脛骨筋と母趾外転筋の 筋活動に有意な正の相関がある ことを報告しているが、舟状骨パッ ドの使用は、両筋の活 動バ ランスを正常と似た状態に是正する作用があると考えられる。
引用
長田ら:開張足にお ける後脛骨筋と母趾外転筋の筋活動と 舟状骨パ ッ ドの与える影響(2001)
【横アーチ 長腓骨筋】
▶︎横アーチは静的・動的支持機構により形態は保たれており、長腓骨筋は横アーチの動的支持機構となる。
▶︎長腓骨筋の(横アーチが)短い群より長い群 が有意に働いた理由は、横アーチの形態的変化によりこの支持機構 が過剰に働いた結果と考えられる。
引用
古田ら:足部横アーチの変化が前方着地時の下腿筋活動に及ぼ す影響
【横アーチとシンスプリント】
▶︎Diff-TAL において,MTSS (シンスプリント)群と他の 2 群間で有意に低値を示した。つまり,内側縦アーチと横アーチ共に MTSS の発生に関連していること が考えられる。
▶︎横 アーチの柔軟性が低下した足部では荷重負荷を緩衝することが前足部の柔軟性の低下は,後脛骨筋や長趾屈筋, ヒラメ筋などの筋張力を増加させることで脛骨骨膜や深 筋膜の機械的ストレスを増加させることが考えられる。
▶︎前足部横アーチの柔軟性の低下,足部内側縦アーチ の低下は MTSS のリスク要因と考えられる。
▶︎一方,内側 縦アーチの柔軟性と前足部横アーチの形態は MTSS のリ スク要因ではないことが明らかになった。
引用
工藤:前足部横アーチの柔軟性と Medial Tibial Stress Syndrome の関係
【横アーチ 足部障害】
▶︎傷害有群の足が無群の足と比較して,横アーチ高が低く,膝伸展位の背屈可動域が小さく,重心動揺が大きいこ とが明らかになった。
▶︎横アーチは地面からの衝撃吸収や重心安定の機能を持つ。
【横アーチ 足部障害】
▶︎足部障害有り群 16 名,無し群 39 名であった。10% 荷重時及び 90% 荷重時の横アーチ高の左右差で有意な差が見られ(ともに p<0.05),障害有り群で左右差が大きく右足に比べて左足の横アーチ高が低いという結果であった。
引用
備藤ら:大学陸上選手におけるアライメントの左右差と障害発生との関連性(2016)
【横アーチ 膝・股関節の影響】
▶︎全立脚期,第 1,2 期において横アーチ長率が高値であるほど膝関節外反モーメントと総合モーメントが高い値を示した。
▶︎横アーチ長率が高値であるほど,全立脚期,第 1,3 期の股関節外転モーメントと全立脚期,第 3 期の股関節総合モーメントが高い値を示した
▶︎開帳足では,外反母趾における研究と同様に立脚期の矢状面における股関節モーメン トを減少させる歩行戦略が用いられていた。
▶︎しかし,開帳足による影響はそれだけでなく,立脚初期から中期にかけての膝関節 内反ストレスと立脚初期と終期の股関節内転ストレスの増大を引き起こしていた。
引用
笠野ら:開帳足は膝関節および股関節の負荷を増大させる
【横アーチパット】
▶︎厚さ 10mm の横アーチを中足骨前 部、中足骨後部,楔状骨部,後足部の 4 つに分類した箇所に横アーチパッド装着した
▶︎その結果,横アーチパッ ド非装着に比べて,中足骨後部が有意に足趾握力 が向上した.後足部横アーチパッドを装着すると足趾握力が低下する傾向がみられた
▶︎また中足骨後方が最も握力が 向上したのは,内在筋の短趾屈筋腱,外在筋の長 母趾屈筋腱と長趾屈筋腱を足底から圧迫して腱長を短縮させて筋収縮力を強めたという結論とも思 われる.
▶︎さらに第 2 中足骨は横アーチ中足骨部の頂点であり横アーチ挙上による,足趾の機能効果が期待できると推察する
引用
清水ら:横アーチパッドの位置と足趾握力との関係
・まとめ
上記の内容を簡単にまとめると、
▶︎横アーチは18才までに破綻しているケースが多い。
▶︎横アーチはその他アーチ機構や後足部のアライメント、外反母趾角と相互的な関係にある。
▶︎横アーチが低下(開帳足)すると、
・母趾外転筋、短母趾屈筋、短趾屈筋の筋力低下がみられる。
・長腓骨筋が過度に働きやすい。
▶︎その他関節については、
・膝内反モーメントの増加
・股関節外転モーメントの増加
▶︎また、横アーチが低下すると歩行時の蹴り出しが不足したり、足部障害(シンスプリントなど)になりやすくなる。
▶︎横アーチパットについては、装着する部位によって効果が異なり、中足部後部に付けると足趾握力の向上が期待できる。
↑このような感じになりました!
まだまだ調べ足りない点が多々ありますので、あくまでも参考程度にご覧頂けたら幸いです
!
最後までお読み頂きありがとうございました😊
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下記の記事もお時間があればご参照ください↓
【leg heel angle(LHA)正常値・測り方は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/04/215103
【内側縦アーチ高率(MLA)って何?評価の方法は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/06/175851
【Navicular Drop test(NDT)方法や基準値は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/08/233750
【足部評価】Arch height index (AHI)って何?
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/10/180745
【専門職向け】外側縦アーチについて
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/14/230055
▶︎足部の評価も大切ですが、『正しい靴選びが出来ているか?』ということも大変重要です。
特に子供の頃は足の骨も完全に骨化していないので、特に靴選びが大切です。
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【専門職向け】外側縦アーチについて(立方骨サポートインソールなど)
▶︎今回は、立方骨を頂点に構成される外側縦アーチについて、まとめていきます。
▶︎足のアーチといえば、いわゆる土踏まずを形成する『内側縦アーチ』が一般的にも広く知られていますが、『外側縦アーチ』については世間的な認知はほとんどありません。
▶︎しかし、足部をみる上で『外側縦アーチ』はとても重要なので、ぜひ最後までご覧ください!!
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▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:7年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識があります。
▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。
●このブログをみて得られるメリット
・外側縦アーチの概要や測定方法がわかる
・外側縦アーチについての文献をまとめて一気に見れる。
目次
・外側縦アーチとは?
・外側縦アーチの測定方法(外側縦アーチ率)
・文献まとめ
・終わりに
・外側縦アーチとは?
▶︎足部には3つのアーチが存在し、
・内側縦アーチ
・外側縦アーチ
・横アーチ からなります。
外側縦アーチは中でも足部の外側に位置しており、踵骨、立方骨、第 4 ・ 5 中足骨により 構成されています。
(立方骨と踵立方関節が要)
関節 は距骨下関節、踵立方関節、外側リスフラン関節が存在し、
筋は 長腓骨筋と短腓骨筋と小趾外転筋で構成されています。
▶︎足部の内側・横・外側アーチは独立して形成されるものではなく、骨格のドーム構造を共有するため互いに影響し合っているといわれています。
特に立方骨は, 足の外側縦アーチと横アーチを直接支持し、間接 的に内側縦アーチを支持することにより足の3 つのアーチを構築すると考えられており、アーチ機構にとってとても重要な役割を果たしているといわれています。
参考文献:深木ら:立方骨サポートインソールが平地および片斜面における立位重心動揺に与える影響(2013)
・外側縦アーチの測定方法(外側縦アーチ率)
▶︎内側縦アーチの測定方法は様々ありますが、外側縦アーチの測定についてはあまり確率されていないのが現状です。
中でも今回は比較的文献等でも散見される『外側縦アーチ高率』の測定方法をお伝えします。
【外側縦アーチ高率(LAR)】
[LAR=(インステップ高)/(外踏まず長)×100]
↑算出方法はこんな感じです。
インステップ高とは、舟状骨の頂点の高さのことをいい、
外踏まず長は踵〜第五中足骨頭までの長さです。
↑これを
10%荷重 50%荷重 90%荷重などで
実施し、座位や立位等で測定し比較すると『外側縦アーチの柔軟性』も把握出来ます。
▶︎変化率は,荷重位と非荷重位における差分を体重 で除し,正規化するなどして算出します。
※外側縦アーチ高率については、基準値等がわかりませんでした💦
勉強不足ですみません。また分かり次第更新します🙇♂️
・文献まとめ
▶︎では、外側縦アーチに関する文献をいくつか紹介していきます。
【外側縦アーチ変化率による影響】
▶︎外側縦アーチ変化率が低いほど,CF (カーフレイズ)動作時の COP は前方へ移 動する傾向が示された。
▶︎外側縦アーチは可動性が少なく剛性が高いため,外在筋を足部に伝える役割を担うと言われる。
▶︎カーフレイズ動作は下腿三頭筋が主動作筋として作用し踵骨が挙上し COP が前方へ偏移する
▶︎よって,外側縦アーチの変化率は下腿 三頭筋の作用と関連しているということが示唆された。
引用
大堀ら:カーフレイズにおける足部構造の変化とCOPの関係性(2013)
【外側縦アーチ 下腿傾斜角度】
▶︎キック動作では、軸足側の下腿傾斜角度が大きくなり外側荷重となることで、外側縦アーチが低下し第 5 中足骨へのストレスが生じると考えられ、疲労骨折の一因であると予想される。
引用山根ら:サッカーのキック動作時における軸足側の下腿傾斜角度キックの種類による比較
【各アーチにかかる体重比】
▶︎Kapandjiによると,踵骨と内側アーチと外側アーチへかかる体重比は,踵骨:内 側アーチ:外側アーチ=3:2:1となると述べている。
▶︎すなわち,全体量はまず距腿関節で距骨にかかり,そこ から3箇所に分散されていくと考えられるが,扁平足で は距骨の前内方への滑りがおこることにより,体重は内 側縦アーチによりかかるものと考えられる。
引用
三秋ら:アーチ高率の違いによる内外側方向における 足圧中心位置の検討
【外側縦アーチパット 効果】
▶︎大山らは外側縦アーチパッドを付加することにより重複歩幅(重複歩距離)と歩行速度は有意に増大傾向であ り、内側縦アーチパッドと横アーチパッドは母趾外転 筋・長母趾屈筋・長趾屈筋、外側縦アーチパッドは小趾外転筋・短腓骨筋などが補助されると報告している。
▶︎そのため内側縦アーチパッドは第 1 趾を屈曲・内転、横 アーチパッドは第 2 ・ 3 ・ 4 趾を屈曲、外側縦アーチパッドは第 5 趾を屈曲・外転させる効果があると考えられる。
【浮き指 外側縦アーチパット】
▶︎浮き趾の有無に かかわらず外側パッドで足趾荷重量が増加したことか ら、荷重時に外側縦アーチを支持し、アーチ挙上を担当する筋群が補助されたと示唆された。
▶︎加辺らは、母趾は「支持作用」、第 2 ~ 5 趾は「重心 を中心に戻す作用」を持つと報告されている。
▶︎大 山らは外側縦アーチパットにより、足底の筋群を補 助し、立脚期での外側への動揺を減少させ、母趾方向へ の誘導を補助して推進力を増大させていると述べてい る。
▶︎これらから先行研究と同様に外側パッドで第 4 ・5 趾が接地し歩行中の外側への動揺が減少したと考えら れた。
▶︎裸足より 外側パッド、外側パッドよりも 3 軸(内側、外側、横アーチ使用)と有意に足趾荷重量 が増加した。
▶︎足部の内側・横・外側アーチは独立して形 成されるものではなく、骨格のドーム構造を共有するた め互いに影響し合う。
引用
阿部:外側縦アーチパッドが足趾に及ぼす効果
【立方骨サポートインソール(BMZ)】
▶︎足底から立方骨を支持するよう凸部が配 置され,足部の内側縦アーチを支持することなく 足趾の運動性を高めながら足部を安定させることが出来るとされ,足部の外側縦アーチと横アー チの楔となる立方骨をサポートする。
▶︎静止立位にて BMZ 挿入の有 無を条件として重心動揺を比較し有意差を認め なかった。
▶︎下肢の機能的運動能力テストであ るFunctional Ability Testの項目である片脚幅跳 び,片脚 8 字跳躍,片脚反復横跳びの課題では BMZ 挿入時に有意な運動パフォーマンス向上を 認めた との報告がある.
▶︎動的バランス評価として SEBT 課題下において各方向へのリーチ距離には 有意差を認めなかったが,BMZ と Non-BMZ の 総軌跡長と外周面積に有意差を認め,BMZ は総軌跡長と外周面積は減少させた.
(方法▶︎一側下肢に BMZ を挿入した支持脚,反対側下肢をリーチ脚として 片脚立位をとり,両手は腰部にあて,それを開始 肢位としてリーチ足の足尖をできるだけ遠くに タッチさせ,各方向 3 回ずつリーチを行った)
【SUPER feetとBMZの効果】
▶︎総軌跡長において,先行研究より内側縦アーチへの適度な圧が平地での重心動揺を小さくするという報告がある.
▶︎内側 縦アーチをサポートするSUPER feetではこれにより総軌跡長が有意に減少したと考える.
▶︎BMZは3つの足部アー チを 1 つの連動した足ドームとして捉え,これを支えている立方骨を支持する.
▶︎よってSUPER feetの挿入による平地で の重心動揺が安定した機序とは異なる影響である.
▶︎片斜面ではインソールなし,SUPER feetと比較し,BMZで有意に減 少した.
▶︎SUPER feetでは片斜面に対して下方の足は足部回外がさらに増加するため,不安定になるのに対し、BMZでは SUPER feetと比較し足部のアライメントをより中間位に保持できたものと考えられる.
引用
深木ら:立方骨サポートインソールが平地および片斜面における立位重心動揺に与える影響(2013)
【立方骨サポート 片脚立位】
▶︎硬性素材、軟性素材使用時における筋活動の変化において有意な差はみられなかった。
▶︎また、側方動揺の変化に関しても軟 性素材の使用における動揺の減少はみられるものの両素材共に有意な差はみられなかった。
【測定時のパッドとして、硬性素材(ショア硬度:68 shore A)、軟性素材(ショ ア硬度:18 shore A)1cm を用い、立方骨部に貼付した。
▶︎片脚立位時における外転筋群筋活動及び側方動揺を測定し、測定 筋は中殿筋中部繊維とした】
▶︎本研究の結果より、立方骨に対してパッドを使用することで外転筋群の筋出力の向上は見られるが、素材による筋出力、側 方動揺に対する変化は示されないことが示唆された。
▶︎よって、インソール作成時において立方骨に対する素材の検討は除外さ れると考えられる
引用
中島ら:適切なインソール素材硬度の検討-立方骨部に着目して-(2017)
【内外側アーチとシューズ】
▶︎着地動作を行った際の足部アーチ角の変位量は, 内側アーチでは裸足に比べてサッカースパイク着 用時に有意に小さい値を示し,外側アーチではランニングシューズおよびサッカースパイクを着用 することによって有意に変位量が小さくなること が明らかになった.
▶︎足部アーチは衝撃や荷重に応 じて骨が変位することで衝撃吸収の役割を果たす.
▶︎今回の実験においては,シューズ着用時は裸足に 比べてアーチの変形によって賄われている衝撃吸 収の量が減少しており,代わりにシューズの衝撃 吸収機能がその役割を担っているものと予測され た。
引用
深野ら:着用シューズの種類が片脚着地時の足部内側および 外側縦アーチ変形に及ぼす影響(2012)
・終わりに
▶︎今回は外側縦アーチについてまとめていきました!
▶︎まだまだ文献が不足していますので、新たな文献が出てきたら加筆していきます!
▶︎以上で終わります。最後までご覧頂きありがとうございました😊!
その他、足部の評価項目についてはこちら↓
【leg heel angle(LHA)正常値・測り方は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/04/215103
【内側縦アーチ高率(MLA)って何?評価の方法は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/06/175851
【Navicular Drop test(NDT)方法や基準値は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/08/233750
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【専門職向け】入谷式足底板 文献まとめ①
▶︎理学療法における足底板作成といえば、入谷式足底板だと思います!
▶︎今回は、入谷式足底板の簡単な概要と、文献をまとめていきます!
▶︎専門職向けの記事になりますのでご注意下さい!
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●この記事の信頼性
▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:7年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識があります。
▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。
●このブログをみて得られるメリット
・入谷式足底板の概要が分かる
・文献をまとめてかんたんに確認出来る
目次
・入谷足底板とは?
・入谷式足底板の治療概念
・文献まとめ
・終わりに
・入谷足底板とは?
▶︎足と歩きの研究所、所長の入谷誠氏が考案した足底板になります。
理学療法における足底板では1番有名なものですね。
▶︎従来の足底板は、静的なアライメントや足部アーチの修正に重きをおいていましたが、入谷式足底板では『動作の改善』を重要視しています。
・入谷式足底板の考えかた
▶︎障害の多くは小さなメカニカルなストレスの繰り返しにより 発生し,これが疼痛などの症状を引き起こす原因になります。
▶︎このメカニカルストレスを減じなければ治療により良好な結果を得ることができません。
▶︎地面に接する足部を制御するインソールは 身体重心,足圧中心,床反力ベクトルなどを変化させるために, 身体の姿勢や動作に影響を及ぼします。
▶︎入谷式足底板は,『足から身体の姿勢や動作を変化させること により,身体各関節のメカニカルストレスを減少させ,より効 率的な身体動作を誘導するもの』です。
参考文献
入谷:生活を支えるインソールの工夫(2014)
簡単な流れでいうと、
①足底板で足部をコントロール
②それによって姿勢や動作が変わる
③各部位のメカニカルストレスが軽減する
④症状が改善する
↑このような感じですかね。
大切なのは、姿勢や動作が改善されるということは、足部によるコントロールもその都度修正していく必要があるということだと思います。
・文献まとめ
▶︎ではさっそく、公開されている文献をまとめていきます!
【入谷式 固有筋収縮】
▶︎Quad. に収縮が加わることで重心が前方移動し、Ham. に収縮が加わることで重心が後方移動する傾向にあることがわかっ た。
▶︎入谷は、Quad. には下腿を前傾させ、重心を前方に移動させる役割が、Ham. には下腿を後傾させ、重心を後方へ移動さ せる役割があると述べている
引用
宮入ら:固有筋収縮と立位での重心位置との関係—入谷式足底板作製に用いる評価法に着目して—
▶︎方法:腸腰筋収縮の開始肢位は股関節、膝関節ともに屈曲90°の端坐位とし、徒手抵抗に抗した股関節屈曲を5回行わせた
▶︎ 腸腰筋の固有筋収縮が足圧中心を前方変位させることが示唆された(0.39センチ)
引用
栗林ら:腸腰筋の固有筋収縮が片脚立位時の足圧中心に与える影響
▶︎入谷式では、評価の際に目的の筋肉に収縮を入れて反応をみます。↑足底板以外でも、運動療法後の身体反応として治療にも使えそうですね!
【入谷式 骨盤回旋テスト】
▶︎他動的な股関節回旋可動域は荷重位における骨盤回旋テストの骨盤回旋角度に、ほとんど影響を与えな いことが明らかになった。
▶︎岩永らは距骨下関節の肢位により骨盤回旋角度が変化すると報告し、土居らは足部外反、内反強 制で骨盤回旋角度が変化すると報告している
つまり、骨盤回旋テストは、足部肢位の影響を強く受け、他動的な股関節回旋 可動域との関連は少ないことが示唆された。
引用
佐々木ら:荷重位骨盤回旋角度と他動的股関節回旋可動域の関係
【後足部アライメントとFFD】
▶︎後足部肢位が変化するこ とで立位アライメントにも変化が加わり,結果的に全身の筋緊張が変化したことが要因と考えられる。
▶︎呼気ガス分析の結果は, FFD 低下群に比べ FFD 向上群において酸素摂取量および二酸化炭素排出量ともに有意に少なかった。
▶︎FFD 向上群 において歩行時の筋活動が少なかったことを示唆し,FFD 向上群では歩行のエネルギー効率が良いといえる。
引用
上島:立位体前屈評価と歩行時エネルギー効率の関係性 歩行評価の一助として立位体前屈評価は有用か
【入谷式足底板 横アーチ】
▶︎HL (踵離地)遅延群では HL 前 10% において GL の筋活動が増大し、HL 後 10% において TP (後脛骨筋)と PL (長腓骨筋)の筋活動が 増大した。これは遅延群では HL が遅く、下腿前傾が増大するために制御作用として働く GL の筋活動が増大するものと推察 する。
▶︎HL 後に生じる TP と PL の筋活動増大は、HL が遅延することにより、その後の身体前方推進力を増大する作用 として TP や PL の筋活動を増大させた事が考えられる。
▶︎このことは、遅延群において HL 後の膝関節前方加速度の増大がみら れたことと関連があるものと思われる。
入谷式足底板における中足骨後方部分の横アーチパッドの貼付 位置に準じて、パッドなしから 2mm までを 0.5mm 刻みで貼付
▶︎ 早期群では高めのパッドが歩き やすいと感じ、遅延群では低めのパッドを歩きやすいと感じる傾向にあった。
▶︎中足骨後方部分の横アーチパッドは高く処方 すると HL が遅延し、低めに処方すると HL が早期に生じるとされている。
引用
財前ら:踵離地早期群と遅延群における歩行時下肢筋活動と中足骨後方部分の横アーチパッドの高さによる歩きやすさの違い
▶︎中足骨パット歩行は下腿傾斜角と膝関節屈曲角度の増加を生じさせることが示された.また、膝屈曲角度の変化はより早期に出現する傾向があった
▶︎ 楔状骨パットにて下腿傾斜角と膝関節角度が低下する可能性が考えられた.
↑使用した素材:中足骨レベルの横アーチ後方部分への足底パット貼付(以下 , 中足骨パット .2mm 厚のポロンシートソフト縦 15mm ×横 30mm),
▶︎楔状骨レベルの横アーチへの足底パット貼付(以下 , 楔状骨パット .3mm 厚のポロンシートソフト縦 30mm ×横 25mm),
引用
島田ら:中足骨と楔状骨レベルの横アーチに対する足底パットが歩行の立脚期に及ぼす影響 ̶矢状面上での下腿と大腿傾斜角および膝関節角度に着目して
▶︎パッドの 形状は縦 1cm×横 2cm×厚さ 2mm の長方形とし第 4 中足骨の中央を基準線とし,基準線より前方に前方パッドを後方に後方パッドを貼付
▶︎ 前方パッド→HC"HO の短縮と HO"TO の延長
▶︎後方パッドを貼付することで HC"HO の延長と HO"TO の短縮 に影響する。
▶︎入谷は 前方パッドの貼付によって歩行時に股関節を伸展に誘導すると述べており,立脚後期で生じる股関節の伸展が増大することで 立脚後期が延長し,TO が遅延したのではないかと考えられる。
▶︎後方パッドの貼付に関しても歩行時に膝関節を屈曲に誘導すると述べており,膝関節が屈曲に誘導されることによって立脚中期での膝関節伸展が遅延し、HO が遅延したのではないかと考えらえる。
▶︎これらの影響から前方パッドと後方パッドの貼付によって HOとTO が遅延したのではないかと考えらえる
引用
高見ら:入谷式足底板における中足骨レベル横アーチパッドが歩行中の踵離地と足尖離 地のタイミングに与える影響について
【入谷式 外果挙上】
▶︎上島らは入谷式足底板での外果挙上が、歩行時の骨盤の外方加速度を 減少させたと報告し、腓骨挙上が近位脛腓関節を介して脛骨を内上方に向って押し上げる力になった事をその要因としている
▶︎腓骨挙上・下制は、脛骨を介して膝関節の内外反運動に影響していると示唆される
▶︎腓骨の挙上によって膝関節の内方化、腓骨の下 制によって膝関節の外方化を促せる可能性があると考える。
▶︎このことから、FTA などの骨形態の変化がない場合でも、膝関 節の内外反ストレスをコントロールする目的で腓骨の高位を操作することは効果が期待できると考えている。
引用
安廣ら:変形性膝関節症における、腓骨の高位と膝関節アライメントとの関係性について
【入谷式長パットの効果】
▶︎LRを早期に生じさせ、大腿部筋活動および内側加速度を変化させるとともに,股関節外転筋力に影 響を与えることが示された。
(長パッドとしてポロンシートソフ
ト2 mm(1 cm×10 cm)を用い,第5中足骨底近位部に 足長軸に対して垂直に貼付した)
▶︎長 パッドの貼付位置と形状から推察すると,初期接地(以 下IC)からLRに作用し,立方骨部の外側縦アーチなら びに立舟関節を保持することが予測される。
▶︎外側縦アー チ及び立舟関節の保持は舟状骨内側を下制し,身体を 内側方向に誘導するとともにLRを早期に生じさせるこ とが考えられる
▶︎本研究の結果においても長パッド貼付 後ではLRが早期に生じ,内側加速度の増加と大腿二頭 筋活動低下がみられた。
▶︎立脚初期では身体の外方加速 度制御のために大腿外側筋群が働き,体幹前傾制御の ために股関節伸展筋並びに膝関節屈曲筋群がそれぞれ働くとされている
▶︎長パッド貼付により,立脚初期 に身体を内側及び前方へ移動させることにより両方の 機能を併せ持つ大腿二頭筋の筋活動が減少し,矢状面 において反対の作用を有する大腿直筋の筋活動が増加 したものと推察する
▶︎中殿筋及び大腿筋膜張筋は外方 動揺制御筋であるが,体幹前傾制御機能は有していな いため,有意な差が生じなかったものと考えられる。
▶︎また,大殿筋は20%STPで有意な増加がみられた。臨 床においては大殿筋とST回内は密接な関係があり,入 谷式足底板における固有筋収縮を用いた評価において は,大殿筋活動を促通して歩容の円滑性が得たれた場 合にST回内誘導が示唆される
▶︎ST回内が示唆された場 合は長パッドを選択することが多く,長パッドの役割 は身体を内側及び前方へ向かわせることが推測され、LR 以降の骨盤前方回旋運動を促通する作用は,ST 回内 誘導と類似している。
▶︎大殿筋 活動増加はST回内誘導による大殿筋のCKCの作用増大と関係があるものと推察される
(トレンデレンブルグと中臀筋)
▶︎骨盤の側方動揺の典型例としてトレンデレンブ ルグ歩行が挙げられ,その原因は中殿筋等の大腿外側 筋群の筋力低下とされている 。
▶︎トレンデレンブル グでは対側の骨盤が下制し,その回転モーメントを制 御するためには大腿外側筋群の筋力が必須である。
▶︎トレンデレンブルグは大腿外側筋群の筋力を必要以上に発揮している状態であると捉えることもできる。
▶︎その状態であると仮定するならば,長 さ張力曲線の原理から股関節外転筋力を発揮することは難しく本当の筋力低下ではなく見かけ上のものであると推測される
▶︎本研究において長パッド貼付により内側加速度が増加し大腿外側筋群の一つである大腿二頭筋の筋活動が低下したことと股関節外転筋と反対の作用を有する長内転筋活動が減少したことにより股関節外転筋力を発揮しやすい状態となり結果として長パッド貼付側の股関節外転筋力が増大したものと推察される
引用
財前ら:入谷式足底板における長パッドが歩行時大腿部筋活動 及び股関節外転筋力に与える影響
【片麻痺 足底板】
▶︎片麻痺患者においても足底からのアーチサポートを行うことで、歩行スピード、歩行効率に変化が見 られた。▶︎Stage 別においても Stage4・5・6 それぞれに足底板の効果が認められた。
▶︎Stage4 では前方への推進力よりも側方動揺が歩行効率低下に影響していると思われ側方への安定性向上を誘導することで、歩行速度↑と示唆。
▶︎Stage5 では側方不安定性、前方への加速が歩行高率の低下に影響しているものと思われ、側方への安定性と前方への加速を誘導することで歩行速度↑と示唆
▶︎Stage6 では、側方の安定性は得られており、前方への加速のみ を誘導することで歩行スピードの向上が見られたと示唆された。
※サポートの種類は不明。入谷式足底板
引用
中野:片麻痺患者における足底挿板の効果
【入谷式 股関節OA】
▶︎Hip-OA に対して,足底板を処方し,全例で歩行時痛が軽減 した.歩行時痛軽減に至った足底板の特徴は全例にて距骨下関節回 外誘導,第 1 列底屈 / 回内誘導であった.
▶︎距骨下関節回外誘導は運 動連鎖にて股関節を内旋にさせ,大腿骨頭と寛骨臼の被覆率を高め, 股関節が安定する
▶︎距骨下関節回外誘導は足部を硬くし,第 1 列底屈 / 回内誘導は立脚期中期以降に下腿の前方移動を促す.
▶︎こ の 2 点は,足関節底屈モーメントを高め立脚期後半の股関節伸展の 代償として働く.
▶︎これらの効果が歩行時痛の軽減に繋がったと考え られる
引用
斉藤ら:変形性股関節症に対する入谷式足底板の効果について 〜足底版作成前後の歩行時痛軽減効果〜
・終わりに
▶︎入谷式足底板は治療概念もしっかりしており、文献も多数ありますのでとても勉強になりますね!
▶︎足底板を作成する以外でも役に立つスキルが様々ありますので、どの分野で活躍する理学療法士にも通じる知識だと思います。
▶︎新たに文献を発見したら追加していきますので、繰り返しご覧になって頂けたらありがたいです!!
▶︎最後までご覧頂きありがとうございました😊
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特に子供の頃は足の骨も完全に骨化していないので、特に靴選びが大切です。
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【足部評価】Arch height index (AHI)って何?方法や基準値は?日本語
▶︎今回は、足部評価の1つであるArch height index (AHI)についてお伝えしていきます!
▶︎AHIとは、内側縦アーチの高さを測る検査です。
▶︎内側縦アーチの評価は他にも、内側縦アーチ高率、NDTなど様々ありますが、中でもAHIは妥当性が高い検査と言われています!
▶︎日本語での文献も数少ないので、是非こちらの記事を参考にしてください!
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●この記事の信頼性
▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:7年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識があります。
▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。
●このブログをみて得られるメリット
・Arch height index (AHI)の評価方法が分かる
・評価の結果の対応策の一部が分かる
目次
・Arch height index (AHI)とは?
・評価方法
・AHIの基準値
・AHIの信頼性・妥当性
・AHFって何?柔軟性も大切??
・AHIが異常であれば、どうなるのか?
・まとめ
・Arch height index (AHI)とは?
▶︎簡単にいうと、足背の高さを測る検査です。
足背の頂点は内側にありますので、
『足背の高さが高いと回外位、低いと回内位である』ということがいえます。
▶︎内側縦アーチ高率やNDTなどでは舟状骨粗面の高さを測定しますので、そこが大きな違いとなります。
・評価方法
▶︎足長(FL:踵後縁から足趾末端)の 50%地点の足背の高 さ(DH)を切頂足長(TFL:踵後縁から第一中足指節関 節中心)で除して算出します。
▶︎測定条件としては、
体重の10%、50%、90%などと荷重条件を統一して測定します。
▶︎体重の10%であれば、端座位にて測定。
(股・膝関節屈曲 90°、足関節背屈 0°)
▶︎50%や90%であれば、立位にて測定。
(股・膝関節伸展 0°、足関節背屈 0° )
↑このように、体重の負荷によって少し肢位が異なりますので、注意が必要です。
・AHIの基準値
▶︎10%荷重の基準値:0.276~0.357
▶︎90%荷重 の 基準値:0.252~0.333
↑ Williams.et al (2000)アメリカ
日本においては、高林らの研究により
▶︎10%荷重と 90%荷重の AHI の平均値(SD)はそ れぞれ 0.333(0.022)、0.308(0.023)。
▶︎ 10%荷重と 90%荷重の AHI の基準値は 0.297~0.368、 0.275~0.341 。
このように平均値と基準値が算出されています。
(現在整形外科的な疾患を伴っていない健常若年女 性 55 名(110 足)を対象)
参考文献
高林ら:Arch height index を用いた日本人若年女性の足部評価基準値の作成
▶︎アメリカと比較すると、日本の方が少し高いという結果になりました。(健常女性のみ)
▶︎この基準値よりも低いと回内傾向
高いと回外傾向
という判断で良いかと思います。
※50%荷重での基準値は見つかりませんでした💦すみません。
・AHIの信頼性・妥当性
▶︎arch index や NDTなどの静的な足部評価方法は,再現性や妥当性 の報告に一致した見解がなく,動的な中足部機能を十分に推測する有用性は低い可能性がある.
▶︎一方,AHI は他の静的な足部評価方法と比較して再現性や妥当性が高 いことが報告されている
参考文献
高林ら:静的な足部評価方法であるarch height indexと ランニング中の中足部回内との関連性
↑NDTや内側縦アーチ高率などは、舟状骨粗面のランドマークに験者間で誤差がみられやすいですが、AHIは足長の50%の位置を頂点としますので誤差はみられにくそうですね!!
・AHFって何?柔軟性も大切??
▶︎AHF は arch height flexibilityの略で、足部の柔軟性をみる評価です。
▶︎方法としては、10%荷重から50%荷重でのAHを引いて算出します。
計算式↓
(10% 荷重の AH - 50%荷重の AH)/(0.4 ×体重)× 100
以下文献↓
AHI で値が低いほど,AHF が高い値には ならないことが示唆された。よって,AHI に加えて,AHF の評価で flexible と rigid な扁平足の評価も行う必要性が示唆された。
参考文献
高林ら:男子大学生における arch height index と arch height flexibility の関係性
▶︎つまり、AHIのみでは扁平足のタイプが分からないので、柔軟性評価であるAHFも測定しておくとなお良いということですね!
▶︎AHFはNDTと似通った検査になりますね。
・AHIが異常であれば、どうなるのか?
▶︎AHIが低値ということは、内側縦アーチが低下しているということなので、アーチ低下による異常が生じてきます。
▶︎内側縦アーチ低下による影響については他記事にて記載していますので、合わせてご覧ください。
↓以下、AHI特有の文献のみ紹介します。
【中足部の異常な動き▶︎障害発生】
Multi-segment foot model を用いて足部内の詳細な解析が行われており,特に 中足部の異常な動きが障害発生に関与することが示唆され ている 。そのため,動的な中足部機能を推測するための 静的な評価方法を検証することは重要であると考えられる
【AHIとランニング時の足部回内】
▶︎AHIで回内アライメントを示す対象者 (AHI が低値)は,ランニング中の中足部回内ピーク値も 高値を示すことが明らかになり,AHI はランニング中の 中足部回内を推測できる有用な足部評価方法であることが示唆された.
【回内と中足骨】
▶︎先行研究では,後足部の動きと障害発生の関連性を検証している報告が多いが 、近年では中足部の異常な動きと障害発生には関連があることが示唆されている .
▶︎後足部と中足部間に運動連鎖関係が存在することを明らかにし 、さらに中足部は後足部と同等の回内運動量を示した。
参考文献
高林ら:静的な足部評価方法であるarch height indexと ランニング中の中足部回内との関連性
▶︎AHIはNDTや内側縦アーチ高率と比較すると少し遠位での測定になるので、中足部寄りのアライメント評価となります。
▶︎上記の文献によると、中足部の動きが障害発生に関連があるということなので、AHIは特に重要ということですね!
・まとめ
▶︎以上、今回はAHIについてはまとめていきました!
▶︎日本ではNDTやLHAなどと比較すると少しマイナーなイメージですが、再現性が高いので評価としては重宝しますね!
※足部評価は単一の検査のみでなく、複数の評価をあわせて行うのが有効です。
下記の記事もお時間があればご参照ください↓
【leg heel angle(LHA)正常値・測り方は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/04/215103
【内側縦アーチ高率(MLA)って何?評価の方法は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/06/175851
【Navicular Drop test(NDT)方法や基準値は?】
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/08/233750
▶︎足部についてまとめて知識をつけたいあなたはこちらもどうぞ↓
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▶︎足部の評価も大切ですが、『正しい靴選びが出来ているか?』ということも大変重要です。
特に子供の頃は足の骨も完全に骨化していないので、特に靴選びが大切です。
子供靴についての知識も身につく子供靴のサイトを作成しましたので、お子さんがおられる方は是非ご覧下さい!😁
●靴のレビューサイト【靴ログ】
最後までご覧頂きありがとうございました!😁
【足部評価】Navicular Drop test(NDT)方法や基準値は?【医療職向け、日本語】
▶︎今回は医療職向けに、足部評価の1つであるNavicular Drop test(NDT)について記載していきます!!
▶︎足部は骨が多く、複雑な構造をしているため様々な検査を合わせて評価すると妥当性が高まります。
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※その他評価についてはこちらをご覧ください↓
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/04/215103
●この記事の信頼性
▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:7年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識があります。
▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。
●このブログをみて得られるメリット
・Navicular Drop testの評価方法が分かる
・評価の結果の対応策の一部が分かる
目次
・Navicular Drop test(NDT)とは?
・評価方法
・NDTの正常値・異常値
・NDTが異常であれば、どうなるのか?
・NDTが異常な際の対応策
・まとめ
・Navicular Drop test(NDT)とは?
▶︎日本語では、舟状骨沈降度検査と言います。
(読み方はナビキャラードロップテスト)
▶︎簡単にいうと、座位と立位で舟状骨の高さがどれくらい変化するのかを調べる検査です。
▶︎内側縦アーチを測る検査は他にもありますが、この検査の特徴は『肢位の違いによる変化率を測る』ということです。
▶︎これによって分かることは、内側縦アーチの柔軟性です。
▶︎柔軟性が低いと足部での衝撃吸収能が低下するということなので、その他関節の負荷にも関わっていきます。
・評価方法
▶︎舟状骨結節と床面との距離 (舟状骨高)を座位と両脚立位で計測し,その変化量を算出します。(単位 ㎜)
【 座位での舟状骨高(㎜)-立位での舟状骨高(㎜) 】
【肢位の詳細】
▶︎脛骨粗面と母趾を正面に位置させ距骨下関節の中間位を触診にて確認。
▶︎股関節と膝関節が 90̊ 屈曲位になる ように調整。
(Brody の報告より)
↑このように、文献等では肢位を細かく規定しているものもあります。
※舟状骨高の測り方↑
・NDTの正常値・異常値
▶︎ND 値が 6mm から 9mm の間もしくは 10mm 以下は正常
▶︎10mm もしくは 15mm 以上は異常
となります。このように、文献により少しだけ正常値が異なりますが、大体10㎜以上になると異常であると覚えておけば良いかなと思います。
・NDTが異常であれば、どうなるのか?
▶︎NDTが異常、つまり10㎜以上ということは『足部の柔軟性が過度』であるということが言えます。
▶︎足部内側縦アーチの低下やそれに関係する過度の後足部回内は,足底腱膜炎や脛骨過労性骨膜炎など多くの下肢過用性障害発症の危険因子となるので要注意です。
▶︎その他、文献にて一部ご紹介していきます。
※以下文献
【運動連鎖】
▶︎足部の過度な回内は上行性運動 連鎖により下腿内旋,膝外反,大腿内旋,骨盤傾斜,体 幹側方傾斜・回旋を生じさせる 。
▶︎このような運動連鎖 異常は,シンスプリント 、外反母趾 、膝前十字靭 帯損傷 などの下肢スポーツ障害・外傷のリスクファクターの一つである。
【片脚立位への影響】
▶︎内側荷重優位の片脚立位群では足関節外反位での股関節外転トルクが有意に高値を示す。
▶︎荷重に伴い内側縦アーチの下降を示すが足部・足関 節周囲の個別の筋力低下を示さない症例も経験する。▶︎そのような症例では足関節を内反位にした状態での股関節外転・伸 展筋力が低下することが多く、股関節との協調性不全を有していると考えられる。
【足部の筋活動】
▶︎ND 値が大きくなると、
▶︎後脛骨筋の筋活動 が減少し、長腓骨筋の筋活動が増大する。
参考文献
▶︎吉住ら:荷重位、非荷重位での舟状骨高と足関節肢位を変えた股関節外転筋力との関係
【重心動揺について】
▶︎重心動揺において,ND 値が 10mm を越えると重心動揺が大きくなっており,アーチ降下率が重心動揺に影響を与えていること が示唆される。
▶︎距骨から上部は足部肢位の影響を上行性運動連鎖として受けることになる。足部構造の変化にともない身体制御機構の変化につながり重心動揺の増加が起こる。
【衝撃緩衝と分散機能への影響】
▶︎壇によると,距骨下関節が回内すると,距骨頭が底側踵舟靭帯を圧迫することにより舟状骨が降下すると報告されている。
▶︎その時,底側踵舟靭帯がバネのように伸張され衝撃緩衝をすることになるが,舟状骨降下が過度になるとこのバネの作用が低下することなり,衝撃緩衝と分散機能が低下することとなる。
▶︎衝撃吸収に寄与する要素の 1 つに足部内側縦アーチ(Medial longitudinal arch:MLA)があるが,同時に衝撃吸収には足関節,膝関節,股関節の各下肢関節の運動も関与するとされている。
▶︎NDT の測定値 が高値を示すほど,荷重時に受ける衝撃が大きい
【衝撃緩衝▶︎膝への影響】
▶︎歩行の荷重応答期において NDT が高値を示すほど内部膝関節伸展モーメント積分値が高値を示したことから,MLA の衝撃吸 収機能の低下により膝関節への力学的負荷が大きくなることが明らかとなった。
▶︎また,内部膝関節伸展モーメント積分値に影響 を与える要素として下腿前傾が挙げられた。
【足部の剛性と筋の易疲労性への影響】
▶︎内側縦アーチ低下について土居はアーチ高率の低下は足部剛性の低下と筋の易疲労性につながると報告している。
▶︎足部の剛性に関してはアーチが低下すると足部の構造的変化が起こり後足部は回内し横足根関節の運動軸が平行となるため柔軟性のある足部が形成されその結果不安定な足部支持となる。
▶︎筋活動に関しては直接舟状骨に付着する後脛骨筋やアーチや重心に関わる内在筋や足外在筋の協調的活動性の低下が考えられた。
参考文献
古田ら:足部舟状骨の可動性が片脚立位時の重心動揺に及ぼす影響
石島ら:足部内側縦アーチの衝撃吸収機能の低下と歩行動作における下肢関節運動との関連性
【膝OAとNDT】
▶︎Kellgren and Lawrence grade(KL 分類)2~3 の変形性膝関節症を呈する女性 では後足部が回内傾向にあることや,足趾把持力が健常高齢者と比較して低下しているとの報告がある。また舟状骨沈降度(Navicular Dropping Test : NDT)が高値であることも知られている。
▶︎NDT が高値であるほど歩行周期に占める荷重応答期時間は低下した。
▶︎このことから,膝 OA 患者において NDT は高値になるほど足部は荷重位にて回内位を呈し,足部の剛性が低下し,足底接地までの時間を短縮させた可能性がある。
▶︎膝 OA 患者では NDT を大きくすることによっ て,荷重時に足部を回内させ,膝関節内反モーメントを軽減することで荷重時の痛みを軽減させていた可能性があるが,その反 面,足部の剛性低下が動的立位バランスを低下させ,転倒恐怖心が強くなったのではないかと推察する。
参考文献
小林ら:変形性膝関節症患者における舟状骨沈降度と歩行及び運動機能の関連性について
・NDTが異常な際の対応策
内側縦アーチの低下に対しては
①運動療法
②足底板療法
③手術療法
これらが挙げられます。
※内側縦アーチ高率についての記事にて、ある程度記載していますので、まずそちらを参照頂けたらと思います。
以下、NDT特有の文献について記載します。
▶︎荷重により大きな足部のアライメント変化が生じる症例では、足内・外在筋の個別のエクササイズのみでなく、股関節と組み合わせたエクササイズが必要であると考える。
参考文献
▶︎吉住ら:荷重位、非荷重位での舟状骨高と足関節肢位を変えた股関節外転筋力との関係
▶︎MLA または MLA の機能低下に対する理学療法介入では,下腿前傾角度の観察や膝関節の障害予防を考慮に入れたプログラムの立案が不可欠であると考えられる。
参考文献
石島ら:足部内側縦アーチの衝撃吸収機能の低下と歩行動作における下肢関節運動との関連性
↑このように、足部へのアプローチに加えて、膝や股関節への配慮が大切になってくるので要注意ですね!!
・まとめ
▶︎NDTが異常である場合、『足部の柔軟性が過度』になっています。
▶︎そのため、衝撃緩衝能や足部の剛性低下、重心動揺も強くなるなど、様々な問題があります。
▶︎アプローチ方法としては、足部アーチへの介入に加え、膝や股関節へのアプローチも重要になってくるので、下肢全体をトータルでサポートする必要があります。
↑以上、簡単にですがNDTについてまとめてみました!!
他の足部評価についても併せてご覧ください!
http://tajax.hatenablog.com/entry/2020/09/04/215103
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