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足と靴のお悩みブログ

足と靴のお悩みについて、理学療法士がお答えします。

深層外旋六筋とは?(解剖、作用、トレーニング、鍛え方、歩行)

こんにちは!今回は、深層外旋六筋について、文献を元に記載していきます!!

 

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・深層外旋六筋について記載されている文献を一気見出来る

 

目次 

・深層外旋六筋の解剖

・深層外旋六筋の触診、筋電図

・深層外旋六筋の役割

・深層外旋六筋のトレーニング方法

・その他文献

・まとめ

 

 

・深層外旋六筋の解剖

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↑言葉の通り、股関節の深層を通る筋肉で、骨盤の前後面では以下に分けられます。

 

前面:梨状筋、外閉鎖筋

後面:大腿方形筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋

 

▶︎また、骨頭中心よりも後方に位置するため、股関節後面の安定に関与しています。

 

・深層外旋六筋の触診、筋電図

 

▶︎では、これらの筋力は触診・または筋電図での検査は可能なのでしょうか??

 

▶︎筋電図については、いろいろ文献を見ましたが、測定可能であるという記載は見当たりませんでした。

 

▶︎同じく外旋筋の役割もある大臀筋によって覆われているため、表面筋電図による測定は現実的ではなさそうです。

 

▶︎また、触診については、いくつか方法がありました。

 

▶︎坐骨神経痛の原因にもなる梨状筋の触診については、以下の方法があります↓

 

①大転子、尾骨、上後腸骨棘をチェック

②尾骨-上後腸骨棘のラインから大転子にかけて二等分する

③二等分した上方に位置する三角形に梨状筋が位置している

 

↑こんな感じです。筋電図のように筋活動を個別で確認するのは困難ですが、筋硬結の有無をチェックすることは可能かもしれないですね。

 

▶︎ただ、そもそも筋硬結による固さなのか、筋緊張による固さなのかは触診では判断が困難であるため、あまり有用ではないような気もします。

 

▶︎よって、深層外旋六筋については基本的に触知出来ないと考えていたほうが良いかと思います。(個人の感想です)

 

・深層外旋六筋の役割

 

▶︎では、深層外旋六筋の役割について、文献を一部抜粋して記載していきます↓

 

【文献①】

▶︎股関節の深層に位置する筋は,股関節の安定性に関与 しているといわれており.股関節回旋(回旋)作用を もつ 筋が多い 。

▶︎実際に回旋筋の安定作用 については多くの報告が散見される


▶︎股関節の障害を有する患者は,歩行時の回旋運動が減少すると報告されてい る。

▶︎歩行時の回旋運動の減少は回旋可動域そのものの制限が生じていると考えるのが妥当であろうが,回旋運動の減少に回旋筋力が関与することも否定できない 。

▶︎歩行における回旋運動は,立脚前期の股関節屈曲から 立脚後期の伸展へと変化する中で,平均8°と報告され ている。

 

▶︎このように股関節屈曲・伸展(屈仲)角 度が変化する中で回旋角度は大きく変化するわけでないため,動作中に回旋角度を 定に保つ ように,回旋筋は等尺性の,いわば固定するための筋力を発揮し続けてい ると推測する

 

▶︎外旋筋力は屈曲位での筋力がやや大きいものの屈伸角度の違い による変化は少ないことがあきらかになった。 内旋筋力については,屈曲するにしたがっ て有意に大きな値を示すことがあきらかになっ た。

 

▶︎一般に外旋筋として,主動筋である大殿筋.外旋六筋,そして補助筋として縫工筋,恥骨筋,中殿筋,小殿筋,大腿二頭筋が挙げられる。

 

▶︎Lang らに よると主要外旋筋群の仕事量の合計は40.5kgm であり,そのうち大殿筋 が13.5kgm ,外旋六筋が 9,0 kgm ,中殿 筋後部線維が5.3kgm,腸腰筋が3.7 kgmであり,多くが大殿筋や外旋六筋によっ て発揮される。

 

▶︎ 具体的に歩行時には,前方に進むための屈伸変化の 中 で,股関節の水平面上の動きは8° と小さくlo)11),歩行 時に回旋筋が一定の筋力を発揮してい ると推測すると,外旋筋がこの水平面上の一定した動きを制御するの に適していると考える

▶︎次に,内旋についてであるが,解剖学的肢位では,内旋トルクを発揮する水平面上の最適な位置に筋が存在しないため,内旋筋の主動作筋はないといわれており,補助筋として,小殿筋,大腿筋膜張筋,中殿筋,半膜様 筋,半腱様筋が挙げられる。

 

【文献②】

▶︎股関節疾患患者において,股関節外旋筋の機能低下が生じていることを臨床上経験することが多い。一般的に,深層外旋筋は骨  頭を求心位に保ち,股関節の安定化を図る役割を有していると考えられている

 

 

【文献③】

▶︎THA 後股外転筋力は非術側と同程度に回復していたが,股外旋筋力は非術側に比較し 1/2 程度の筋力しか有していないことが示され,術侵襲として外旋筋群に侵襲を加える後側方アプローチの THA における特有の問題と思われる。


▶︎THA 後 timed stair test(以下 TST)には重回帰分析より TUGT,股外旋筋力が独立して影響していることが明らかとなった。

▶︎TUGT は TST と同様に 方向転換を含む検査法であり,股外旋筋の機能の一つとして方向転換への関与が考えられる。

▶︎股外旋筋の機能はその付着から大腿骨上の骨盤回旋であり,股外旋筋の求心性活動により骨盤前方と体幹は加速し,固定された 大腿に対して対側性に回旋することで方向転換を行っているとされ, 股外旋筋出力低下が TST に影響を与えたと考えられる。

 

▶︎南角らによると THA 術後早期で股外旋筋に対するトレーニングにより,股外転筋力がより効率的に発揮できるようになった, また田篭らは股外旋筋群は支持側へ荷重する瞬間に股関節の求心性を高め,外転筋力と同様に片脚立位動作の安定性に貢献す ると報告している。

 

▶︎股外旋筋は骨頭を求心位に保持し外転筋の補助動筋としての作用に加え,今回の検討にて方向転換時の骨盤回旋を誘導するこ とで円滑な応用歩行動作能力に寄与していると考えられる。

 

【文献⑥】

▶︎股関節内旋筋及び外旋筋は、股関節を回旋させる以外の機能として歩行時に同時収縮による安定性の役割や遠心性収縮による制御としての役割などがある。

 

 

 

↑このように、外旋運動以外に様々な役割があるということですね!

▶︎少し要点をまとめると、

 

・深層外旋筋は、骨頭を求心位に保つ機能がある

・その機能により、股関節の安定化を図ることが出来る。

・歩行時には内外旋筋群の同時収縮により、股関節の水平面上での動き(8度程度)を制御している

・また、大腿骨上の骨盤回旋に関与するため、特に方向転換時に重要となる

・臼蓋と股関節の安定を得ることで、股関節外転筋群の効率的な筋発揮に関与する。

 

↑こんな感じでしょうか?深部にある小さな筋群ですが、機能が低下すると股関節の不安定性を招くので要注意です。

 

 

・深層外旋六筋のトレーニング方法

 

【文献④】
▶︎股関節深部筋である小殿筋や梨状筋は、股関 節回旋させる以外の機能として歩行時の骨盤回旋を制御する役割姿勢制御に関与する筋としての役割が報告されている

 

▶︎ト レ ー ニ ン グ 方 法 は 、 低 負 荷 群 で は 黄 色 の セ ラ バンド(日本メデックス)を用いメトロノームにて 120/min のペースとし、高負荷群では、黒色のセラバンドを用い 40/min の ペースで股関節内旋運動を行った。

▶︎各群とも腹臥位、股関節最大外転位、膝関節屈曲位での股関節内旋運動を可動域全範囲 で行い、1 セット 20 秒間とし 3 セット行った。

 

▶︎股関節内旋トレーニングの即時効果として、低負荷群 ・ 高負荷群ともに片脚立位における重心動揺が減 少したことより、静的姿勢制御能力の向上に効果があることが示唆された。

▶︎これは、股関節内旋運動が深部筋である小殿筋 の支点形成能力を向上させ、股関節外転筋群をより効率よく働かせることができた可能性が考えられる。

▶︎さらに低負荷では、 静的アライメントにおける前額面上の安定性を向上させ、逆に高負荷では、動的姿勢制御や動的アライメントにおける前額 面上の骨盤の安定性を向上させることが示唆された。

 

【文献⑤】

▶︎股関節外旋筋のトレーニングは,腹臥位で股関節屈曲 0°・膝関節屈曲 90°での股関節外旋運動,仰臥位と側臥位での股関節軽度屈曲位からの股関節外旋運動とし,術後 1 週間は自動介助,術後 2 週目からは自動運動,術後 3 〜 4 週間は低負荷でのトレーニングを行った.

 

▶︎股関節深部外旋筋は,臼蓋に対して大腿骨頭を求心位に保持することから股関節の安定性に関与すると考えられている.

▶︎股関節外旋筋に対するトレーニングを実施したことにより,臼蓋と大腿骨頭の安定性が得られ, より効率に股関節外転筋群による筋力発揮が可能となったために股関節外転筋力が術前よりも 14.3%向上したと考えられた.

▶︎股関節外旋筋のトレーニングを行うことで股関節外転筋力が術前よりも向上したことから,THA 術後早期で の歩行能力も同時に改善したと考えられた.

 

↑トレーニングについては、あまり文献には具体的な方法は多く載っていなかったです。

 

簡単にまとめると、

・セラバンドを使用しての内外旋ex

   (股関節外転位、膝屈曲位)

・腹臥位で股関節屈曲 0°・膝関節屈曲 90°での股関節外旋運動,

・仰臥位と側臥位での股関節軽度屈曲位からの股関節外旋運動

 

↑このような感じですね。

 股関節の安定性という意味では、これらのトレーニングを前段階で行った後に荷重練習等(歩行、方向転換など)を実施するのが良いかと思います。

 

・その他文献

 

↓その他、深層外旋六筋に関する文献を一部ご紹介して終わります。

 

【文献⑥】

▶︎股関節内外旋筋出力の優位性は、一般的に外旋筋出力の方が高いとされている。

 

▶︎今回の測定では股関節屈曲位と伸展位では内外旋筋出力の優位性が逆転する結果となった。

要因として肢位が異なることにより股関節内外旋に参加する筋が異なることが伺えた。

 

▶︎一般的に股関節内旋筋の主な動筋は、小殿筋前部線維・中殿筋前部線維・大腿筋膜張筋であるが、KAPANDJIらによると梨状筋は股関節屈曲60度以下では外旋筋,60度以上では内旋筋として働くと報告している。

 

▶︎Delp SLらは大殿筋上部線維・中殿筋後部線維・小殿筋後部線維・梨状筋伸展位では外旋筋として働き屈曲位では内旋筋として働くと報告している。

 

【文献⑦】

▶︎側臥位で 5 秒間の股関節外転等尺性収縮課題を行った。

▶︎中殿筋の%MVC は、股関節最大外旋位で最も高い値を示した。

▶︎中殿筋前部・中部線維は、腸 骨稜後面外側を起始とし、大腿骨大転子の外側面に 停止するため、その作用は、股関節の外転であると同時に内旋でもある。

▶︎そのため、外旋位を保持するこ とで、中殿筋前部・中部線維が安静時での筋長よりも 長くなり、その結果、筋活動が高まったと考えられる。
▶︎また、本研究の測定は側臥位にて行った。側臥位 という不安定な状態で 5 秒間の股関節外転等尺性収 縮を行ったことによって、股関節外旋時に側臥位を 保持する為のバランスを保つ必要があった。それゆ え、外見的に股関節外旋位を保持していても、骨盤 の安定性を保つために中殿筋が内旋方向にも働い たのではないかと考えられる。

 

・まとめ

 

▶︎今回は、深層外旋六筋について記載しました。

 

▶︎あまり普段そこまで意識されることのない筋群ではありますが、『股関節の安定』という役割は大きいですね。

 

▶︎今回はこれで終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

 

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【文献①】小玉ら.股関節屈曲・伸展角度の違い による股関節回旋筋力の変化.理学療法学 第41巻第2号 60 一 65頁 (2014年)

 

【文献②】引用:冨澤ら.股関節屈曲角度の変化に伴う股関節外旋筋力と筋活動 筋電図学的分析.第 50 回日本理学療法学術大会(東京)2015

 

【文献③】引用:THA 後の応用歩行動作能力に影響を与える因子 ~股外旋筋に注目して~. 第50 回日本理学療法学術大会(東京)2015

 

【文献④】引用:曽田ら.股関節深部筋に対する股関節内旋トレーニングの即時効果—姿勢制御能力および姿勢アライメントに及ぼす影響について—Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)2010

 

【文献⑤】引用:南角ら.股関節外旋筋に対するトレーニングは人工股関節置換術後早期における運動機能の向上に有用である.第48回日本理学療法学術大会(名古屋)2013

 

【文献⑥】引用:曽田ら.股関節内・外旋筋出力の優位性についての一考.第23回東海北陸理学療法学術大会.2007

 

【文献⑦】引用:新井.股関節肢位の違いによる中殿筋筋活動の筋電図学的解析.2007

股関節屈曲可動域制限の原因とは?(文献まとめ)

こんにちは!今回は、股関節屈曲の制限因子について、文献を元に記載していきます!!

 

▶︎股関節に対する理学療法について、まとめて知識を得たい!!😁

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●このブログをみて得られるメリット

・股関節屈曲の制限因子について、文献を一気見出来る

 

目次 

・股関節の解剖

・股関節屈曲の制限因子(各文献紹介)

・まとめ

 

 

・股関節の解剖

▶︎ではまず初めに、股関節周囲の解剖についてみていきます!

 

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↑屈曲と拮抗して作用する股関節伸展筋は、

・大殿筋

・大内転筋

・小殿筋の後部線維と中殿筋の後部線維

・梨状筋

・大腿方形筋

・長内転筋

・短内転筋

 

 

↑これらが挙げられます。

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また、その他股関節後面には、

・梨状筋

・上・下双子筋

・内閉鎖筋

・大腿方形筋

 

 

↑これらの筋が存在します。

 

では、これらの筋は屈曲を制限する因子になるのでしょうか??

 

 

・股関節屈曲の制限因子について

 

↓では次は、股関節屈曲の制限因子について記載されている文献を参照しています!!

 

【文献①】

▶︎股関節屈曲可動域制限が存在する場合、大殿筋やハムストリングスが筋由来の制限因子として容易に想定できる。

▶︎しかし臨床上、股関節屈曲可動域制限を有する患者で大殿筋やハムストリングスの走行に一致した伸張感を認めることは少なく、股関節深層外旋筋群(以下、深層外旋筋)や股関節外転筋群と想定される部位に伸張感を認めることが多い

 

▶︎梨状筋、上双子筋の筋長は股関節屈曲角度の増加に伴い伸張され、股関節75度屈曲位でそれぞれ119%、113%であった。

▶︎下双子筋の筋長は股関節屈曲30度まではほぼ変化がなかった。30度以降は徐々に伸張されたが他の筋に比べ最も伸張率が低く股関節75度屈曲位で105%であった。

▶︎大腿方形筋は股関節屈曲30度まではほぼ変化がなかったが、45度屈曲位で110%、60度屈曲位で124%、75度屈曲位で133%と股関節屈曲30度以降に急激に伸張され、今回対象とした筋の中で最も伸張率が高かった。

【文献②】

▶︎ 股関節中間位(解剖学的肢位)からの外旋に伴い深層外旋筋群はすべて弛緩した。

▶︎一方、屈曲に伴い梨状筋及び大腿方形筋が伸張され、外転に伴い梨状筋、上 ・ 下双子筋、内閉鎖筋は弛緩するが大腿方形筋、外閉鎖筋は伸張された。

 

▶︎複合的な運動では、屈曲位からの外転では梨状筋や上・下双子筋、 内閉鎖筋は弛緩するが、大腿方形筋は伸張され、さらに外旋が加わると大腿方形筋は最大限に伸張 され、筋線維が切れる程であった。とくに大腿方形筋を上下部の二等分した場合の下部の線維で顕 著であった。

▶︎変形性股関節症による人工股関節全置換術症例では、手術の展開において大腿方形筋は温存され ることが多いが、術中操作により過度のストレスがかかり、術後の関節運動時に大転子後面に痛み が生じることも予想される。

 

【文献③】

▶︎正常な股関節の屈曲を制限している軟部組織として股関節の関節包や,関節包を補強している靭帯があるが ,靭帯による制限に先行して筋などの軟部組織が伸張されてから,靭帯による制限が生じると考えられる。

 

▶︎股関節屈 曲が筋により制限をうけている場合,その制限因子は 股関節屈曲に拮抗する伸展作用を持つ筋の可能性が一 般的には考えられている。
▶︎股関節周囲筋の作用については多くの解剖学書あるいは運動学書に記されており,大殿筋大内転筋,小殿筋の後部線維と中殿筋の後部線維,梨状筋大腿方形筋,長内転筋,短内転筋 に伸展作用があると述べ られている。

 

▶︎一方,新鮮屍体を用いた人体解剖で股関 節屈曲時における股関節後方の筋を観察すると,梨状筋,上・下双子筋,内閉鎖筋,大腿方形筋の緊張が肉眼的に認められ,股関節の屈曲に伴い伸張制限の度合 は増加し,これらの筋を切離することにより,股関節 屈曲角度が増加することを確認した。

 

▶︎大殿筋切離後に股関節屈曲角度は両股関節とも約3°の増加が 認められた。このことから,大殿筋が股関節屈曲の制 限に全く関与してはいないとは断言しがたい

 

▶︎今回の実験では両 股関節において大内転筋の伸張は観察されず,股関節 屈曲に及ぼす影響は大きくはないと考えられた。しか し,大内転筋切離後に左股関節では屈曲角度の変化は 認められなかったものの,右股関節では約 9° の屈曲角度の増加を示していた。

 

▶︎小殿筋の機能に関してBeck らは,小殿筋は大転子だけではなく股関節の関節包にも付着し,関節包を緊張させ,股関節の肢位に関わらず股関節の安定性を補っていると述べている。

 

▶︎今回の実験では小殿筋切離の際には関節包を温存し,筋を起始部より切離した。肉眼 および触診による観察では両股関節とも小殿筋の伸張 は認められなかったが,小殿筋切離後に左股関節で約 5° の股関節屈曲角度の増加を示した。

 

▶︎小殿筋が関節包 に付着している部分は小殿筋の中でも深部にあたるため,肉眼あるいは触診による観察での筋の伸張を確認 できなかった可能性と,小殿筋を切離したことで関節 包の緊張が低下し,股関節屈曲時に大腿骨頭の後方す べりが大きく起きたことがその原因として考えられる。

▶︎しかし,右股関節では小殿筋切離後に股関節屈曲角度 の変化はみられなかったことより,小殿筋が股関節屈 曲の制限に及ぼす影響にも個体差があり,必ずしも股 関節屈曲の制限に大きな影響はないと考える

 

▶︎両股関節の中で顕著な伸張を呈した筋は,梨状筋と 内閉鎖筋であった。両筋とも外旋運動の主動筋と考えられている。

▶︎外旋筋群の中でも梨状筋と内閉鎖筋は,特 に股関節屈曲を制限する可能性が高いと考えられる。

 

▶︎理学療法プログラムとして股関節屈曲可動 域を拡大するときには,屈曲角度ばかりでなく内旋角度にも注意をはらう必要があると考える

 

【文献④】

股関節疾患患者において,股関節外旋筋の機能低下が生じていることを臨床上経験することが多い。一般的に,深層外旋筋は骨 頭を求心位に保ち,股関節の安定化を図る役割を有していると考えられている

 

 

【文献⑤】

▶︎先行研究にて、人工股関節置換術術後 2 か月(以下 2M)から術後 5 か月(以下 5M)にかけて爪切り動作が可能となる場合が多いことを報告した。

▶︎踵距離は股関節可動域による寄与率の算出から屈曲,外旋,外転の可動域を 4 : 3 : 1 の割合で表せるこ とを報告した。

 

▶︎屈曲の制限因子と開排の制限因子は股関節内転筋群や殿筋群の伸張性であり,共通している場合が多いた め,屈曲群と開排群では可動域の差がなかったと考える。

 

▶︎臨床的に大腿筋膜張筋から殿筋筋膜や胸腰筋膜の伸張性が関 与している場合もあり,今後は股関節内転可動域等の影響も検討したい。

 

 

↑とのことでした!

伸筋群についてはイメージしやすいですが、外旋筋群も制限因子となることを意識する必要がありますね!

 

・まとめ

 

↑では、制限因子についてまとめていきます。

 

【筋以外の因子】

▶︎制限因子として股関節の関節包や,関節包を補強している靭帯があるが ,靭帯による制限に先行して筋などの軟部組織が伸張されてから,靭帯による制限が生じると考えられる。

 

【筋性の因子】

△大殿筋

△大内転筋

△小殿筋の後部線維と中殿筋の後部線維

○梨状筋

⭐️大腿方形筋(外転・外旋を伴うと伸長↑)

・長内転筋(文献による記載無)

・短内転筋(文献による記載無)

・上双子筋(文献による記載無)

・下双子筋(文献による記載無)

○内閉鎖筋

 

・大腿筋膜張筋(制限因子の可能性あり)

・殿筋筋膜(制限因子の可能性あり)

・胸腰筋膜(制限因子の可能性あり)

 

↑以上のようになりました!!

 筋だけでも、かなりの数がありますね!!

 それぞれ単独で評価しながら因子を考えていく必要がありますが、特に外旋筋群は制限因子である可能性が高いので、注意が必要ですね!

 

▶︎以上で終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

 

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【文献①】田中ら.股関節屈曲角度と股関節深層外旋筋群の伸張率との関係—肉眼解剖による股関節屈曲可動域制限因子の検討—Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)2010

 

【文献②】

吉田ら.股関節屈曲・外転・外旋肢位の制限因子の検討 —遺体解剖による股関節深層外旋筋群の観察—.Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)2009

 

【文献③】

佐藤ら.健常人における股関節外旋筋群が股関節屈曲に及ぼす影響.理学療法科学 23(2):323–328,2008

 

【文献④】

引用:冨澤ら.股関節屈曲角度の変化に伴う股関節外旋筋力と筋活動 筋電図学的分析.第 50 回日本理学療法学術大会(東京)2015

 

【文献⑤】

引用:木下ら.変形性股関節症における人工股関節全置換術後の足趾爪切り動作方法と股関節 可動域の関係.第 50 回日本理学療法学術大会(東京)2015

 

 

 

 

多裂筋に対するトレーニング(腰痛、起始停止、運動療法、アプローチ、理学療法)

こんにちは!今回は、多裂筋のトレーニングについて、文献を元に記載していきます!!

 

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・多裂筋のトレーニングについて、文献を一気見出来る

 

目次 

・多裂筋の解剖

・多裂筋の作用、働きについて

・触診方法、筋電図はどこにつける?

・多裂筋のトレーニング方法

・まとめ

・多裂筋の解剖

 

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▶︎起始

 仙骨背面、後仙腸靱帯、腰椎の乳様突起、胸椎の横突起、C4-7の頚椎関節突起

 

▶︎停止

 2~4個上の棘突起に付着

 

【文献⑤】

▶︎多裂筋は腰背部では最も大きく最内側に位置し,特 に最深部の最も短い筋束は椎弓板線維と呼ばれ,各腰椎 椎弓板の背側下端から起こり,2つ下方の椎体の乳頭突起に停止する 。

 

▶︎第 5 番目の筋束だけはそれより 下方に乳頭突起が存在しないので仙骨(第1仙骨孔のす ぐ上)に停止する。

 

▶︎最深部の多裂筋は前方を除くすべて の方向で腰椎椎間関節を覆っている

 

▶︎この深部の多裂 筋は椎体分節毎に脊髄神経後枝の支配を受け,分節単位 で脊椎の安定性の維持と姿勢保持に働くとされている

 

 

・多裂筋の作用、働きについて

 

▶︎次は、多裂筋の働きについてみていきます!

 

【文献①】

▶︎渡邊 は、 (立位での)側方体重移動保持における両側多裂筋の筋電図積分値に ついて検討したところ、移動側の多裂筋については直立 位レベルの活動を維持し、非移動側については増大を認 めたと報告している。

 

▶︎結果、立位で の側方体重移動保持における多裂筋、最長筋、腸肋筋の 筋活動について、移動側各筋については直立位レベルの 活動を維持し、非移動側各筋においては直立位よりも増 大を認めた。

▶︎移動側は胸腰椎の生理的弯曲を保つための胸腰椎伸展作用として姿勢保持に 関わっていると考える。

▶︎非移動側については側方体重移動保持にともなって自律的に 骨盤の非移動側が挙上位になることを考慮すると、胸腰 部の非移動側側屈をともなう骨盤の挙上作用として関与 するものと考える。


▶︎非移動側の多裂筋、 最長筋については、胸腰椎を非移動側に側屈させるとい う解剖学的作用を有し、腸肋筋については肋骨と腸骨を 近づける胸腰部側屈作用にてそれぞれ胸腰部の非移動側 側屈をともなう骨盤の挙上がおこなわれていると考える。

 

【文献③】

▶︎腹横筋の主たる機能として,上下肢運 動時における他の体幹筋群からの独立的,かつ先行的な活動や腹腔内圧の上昇,仙腸関節の安定化などが報告されている。また, 腰部多裂筋に関しては腹横筋と協調して,また両側性に活動することで腰椎へ安定性を提供しているとの報告がある

 

▶︎腹横筋や腰部多裂筋は機能的活動中に低レベルで持続的な活動が必要であるとされており,か つ両筋は低レベルな筋活動で充分に安定化機能を果たすと報告されている。

 

【文献⑤】

▶︎伸筋群のうち多裂筋は,両側性に作用した場 合は脊柱伸展,片側性に作用した場合は片側脊柱の回旋 機能を有する。

 

▶︎Norrisによると,多裂筋は脊柱伸展のための強い筋出力よりもむしろ,腰椎椎間関節の適合腰椎の屈曲に抗した調和による脊柱安定に関与 すると考えられている。

 

▶︎深部に位置する多裂筋の役割は,脊椎分節毎の保護 と安定性の維持であり,深部の多裂筋による分節的安定 性の確保があって初めて,表在に位置する多関節筋のダ イナミックな運動が可能となるとされている

 

▶︎中枢神経系は運動に先行して腰部の安定性を確保する ために深部の多裂筋を収縮させている

 

▶︎多裂筋には固有感覚受容器が豊富に分布しており,関節包や靭帯からの感覚フィードバックと協調して,分節毎の安定性を保ち,脊柱の支持と保護に働いている。

 


▶︎福田は,体幹大きな前屈モーメントが加わる場合,腹側筋群が腹腔内圧上昇による体幹伸展作用,および支点の安定性を得る作用として活動することを述べている。

 

▶︎福田は,種々の動作について検討し,動作中の 脊柱起立筋,腹直筋,腹斜筋の筋活動と腹腔内圧変動 の相関を求め,腹斜筋ですべての動作において高い相 関を認めたことから,この筋の働きが腹腔内圧の変動 を起こすと報告している。


▶︎安静坐位・坐位側方リーチ動作において多裂筋の筋作用による椎体間の固定性よりも,表在 体幹筋による腹腔内圧とそれらすべての筋の制御作用 により姿勢保持がなされていることが重心動揺に強く 影響を与えるものであると考えられた。

 

↑多裂筋の働きについて簡単にまとめると、

【基本的な作用】

・脊柱伸展(両側)

・脊柱の回旋 (片側)

 

【その他の働き】

・脊椎分節ごとの安定▶︎動作の基盤

 (固有受容器が豊富▶︎先行随伴性姿勢調節)

 (腹横筋と共同して腰椎を安定)

・立位での側方重心移動(非移動側)

・腰椎の屈曲に抗した調和による脊柱安定

 (脊柱の伸展作用はアウターが関与)

 

※各姿勢・動作時に弱い筋活動を持続的に行えることが重要。

 

・触診方法、筋電図はどこにつける?

 

【文献④】

▶︎測定筋は左側の多裂筋,脊柱 起立筋とし,電極を筋線維と平行に電極中心間隔 20mm で貼付した。多裂筋の電極貼付位置は第 5 腰椎レベルで第 1・2 腰椎 間と上後腸骨棘を結んだ線上,脊柱起立筋は第 1 腰椎棘突起から 4cm 外側とした

 

【文献⑥】

▶︎多裂筋の表面筋電図の電 極貼付位置は,諸家により様々な報告がある。そのため,先行研究での電極貼付位置が統一されていない


▶︎棘突起外縁から多裂筋最表層の距離の平均値は,L2 棘突起レベルでは 4.4±3.3mm,L3 棘突起レベルでは 9.3±4.3mm,L4 棘突 起レベルでは 14.4±3.9mm,L5 棘突起レベルでは25.1±8.0mm,PSIS レベルでは男性 45.2±8.6mm,女性 30.1±15.2mm であっ た。PSIS レベルにおいて,男性が女性に比べて有意に多裂筋最表層の距離が長かった(p<0.05)。

▶︎本研究の結果から,L2 棘突起レベルでは 4mm,L3 棘突起レベルでは 14mm,L4 棘突起レベルでは 14mm,L5 棘突起レベルで は 25mm,PSIS レベルでは 30mm に表面筋電図の電極を貼付することで,多裂筋の筋活動を計測することは可能であると考え られる。

 

▶︎しかし,多裂筋の表面筋電図の電極は,多くは小児用電極を用いている。小児用電極は,縦 6mm,横 11mm である。 そのため,最長筋や腸肋筋の筋活動ではなく,多裂筋の筋活動のみを計測するためには,多裂筋最表層の距離は,最低 11mm 以上必要である。このことから,L2,L3 棘突起レベルでは,最長筋や腸肋筋などの隣接した筋の筋活動が混入している可能性 が高いと考える。L4 棘突起レベルでは,L4 棘突起近傍,L5 棘突起レベルでは,L5 棘突起近傍から 2cm の間,PSIS レベルでは, PSIS レベルの棘突起近傍から 3cm の間であれば,多裂筋の筋活動のみを測定することが可能であると推測される。

▶︎体幹 筋の形状や骨盤傾斜角度に男女差があることから,PSIS レベルにおいて男女差が生じたと考えられる。よって,L4 棘突起以下 のレベルで,表面筋電図の電極貼付位置を配慮することで,多裂筋のみの筋活動を計測できる可能性が示唆された

 

↑脊椎のレベルによって触知しにくい箇所もありますが、体表から筋の確認は出来そうですね!

 

【文献⑦】

▶︎電極の貼付部位は, Danneelsらの方法に従い , 多裂筋の電極中心を「両上後腸骨棘を結んだ線上および椎骨棘突起の近傍」とした

▶︎LM (多裂筋)は体幹深層筋であるため,L4−L5レベ ル 直上では脊柱起立筋が被
覆しており表在より筋の触知困難得であるが、後腸骨棘レベ ルの断面では脊柱起立筋の被覆はみられな い

▶︎下 位 LM は仙骨後面 お よび上後腸骨 棘 か ら,2−4分節上の棘突起に付着する。

▶︎L4−L5 棘突起に付着し,それらの伸展に関与するLM 線維の筋 電 位 は 上 記 の 電 極 貼 付 位 置 か ら 得 ら れ る と 判 断 し た。

 

 

・多裂筋のトレーニング方法

 

⬇️トレーニングの目的(腰痛)

【文献④】

▶︎腰痛患者では脊柱の安定性に重要な役割をもつ多裂筋が萎縮していることが報告されている(Barker,2004)。

▶︎また腰痛患者 の多裂筋の断面積は脊柱起立筋と比較して選択的に減少していることが報告されている(Danneels,2000)。

▶︎腰痛患者の リハビリテーションでは脊柱起立筋に対して多裂筋を選択的にトレーニングできる方法を検討していくことが必要である。

 

【文献②】

▶︎健常成人において四つ這い位では右下肢挙上や左下肢と右上肢の同時挙上と比較し、右下肢と左上肢の同時挙上の方が多裂筋の高い筋活動が認められた(p < 0.05)。

 

▶︎通常の四つ這い位での右下肢挙上と比較し、支持四つ這い位(上半身をベッドで支持)での右下肢挙上 の方が、健常成人、高齢者ともに多裂筋部の高い筋活動が認められた。通常四つ這いでは健常成人 43.7 ± 17.5%、高齢者 53. 3 ± 15.7%であり、支持四つ這い位では健常成人 55.8 ± 19.2%、高齢者 64.0 ± 17.6%であった(p < 0.05)。


▶︎健常成人の多裂筋部の四つ這い位での右下肢と左下肢の同時挙上は約 30〜48% MVC とされている。

▶︎上半身を支持することで、脊柱起 立筋の活動が抑えられ深層筋である多裂筋がより選択的に収縮することにより、安定性を一層高めることが可能であると考えられる。


▶︎高齢者では上半身を支持することで姿勢を保持することが容易となり、表在筋である脊柱起立筋の活動が抑えられて深層 筋である多裂筋の筋活動が高められ、安全で効果的な安定化エクササイズが実施可能となる。

 

【文献④】

▶︎挙上した上下肢を外転位にすることで,多裂筋の筋活動量のみが有意に増加し,多裂筋 / 脊柱起立筋比も増加する傾向に あった。

 

▶︎右上肢・左下肢外転位により脊柱左回旋モーメントが増加し,脊柱左回旋作用のある左脊柱起立筋は筋活動を 高めず,脊柱右回旋作用のある左多裂筋が筋活動を高めたためと考える。

 

▶︎挙上した上下肢に重錘負荷することで,多裂筋とと もに脊柱起立筋の筋活量も有意に増加し,多裂筋 / 脊柱起立筋比は有意に低下した。これは上下肢への重錘負荷により脊柱 屈曲モーメントが増加し,脊柱伸展作用のある両筋において脊柱起立筋が多裂筋よりも活動を高めたためと考える。

 

【文献⑤】

▶︎背臥位での多裂筋exの結果,圧変動幅が有 意に減少し,トレーニング中の腰部の前弯,後弯をコン トロールする多裂筋の筋機能に効果的であったことが示唆された。

 

▶︎しかし,安静坐位,最大側方リーチでの重心動揺の減少に影響を与えるものではなかった。

このこ▶︎とから脊柱安定性に寄与する多裂筋の機能が向上し椎 体間の固定性が高まることが,必ずしも重心動揺に影響を与えるものではないことが明らかとなった。


▶︎安静坐位保持では脊柱 起立筋や大腿直筋に筋活動が認められており,これらの 筋が姿勢を制御している特性の一つであると考えられ た。

 

▶︎側方へ体幹を傾斜させた場合,安静坐位での脊 柱起立筋や大腿直筋の筋活動に加えてハムストリング ス,特に外腹斜筋が強く働き,これらすべての制御作用 を用いて姿勢を保持しているとされている。

 

 

【文献③】※注意点

▶︎両筋は他の体幹筋群と比較して筋サイズも小 さいため,高負荷になるにつれて筋厚や筋断面積の値はプラトーに達していた可能性があり,さらに,高重量条件では重量の増 加に伴う体幹への高負荷に抗するため,体幹グローバル筋群である腹斜筋群や脊柱起立筋群などの活動性が優位となっていた ために筋厚や筋断面積の関連性が検知されなかったかもしれない。

 

↑トレーニング方法については簡単にまとめると、

・背臥位での多裂筋ex(ブレイシングなど)は筋力増強には有用。

 ※しかし、座位でのリーチ動作などでのバランス能力には寄与しない。

 

・バードドッグex(四つ這い位)

 ▶︎挙上した上下肢を外転位にすると○

 ▶︎上半身をベッドで支持した状態での下肢挙

        上でも筋活動↑

(通常肢位では約 30〜48% MVC

 

↑多裂筋のトレーニングでよくみられるのはバードドッグexが文献としても多い印象です。

 

▶︎注意点として上述したように高負荷のexは脊柱起立筋などが優位に働くようになるので、負荷量は気をつけた方が良さそうですね!

 

・まとめ

 

▶︎今回は多裂筋について記載していきました!

 

▶︎腹横筋などと共同して腰椎の安定を図る筋肉なので、併せてトレーニングしていきたいですね!

 

▶︎今回はこれで終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

 

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【文献①】引用:大沼ら.体幹研究と理学療法.関西理学 13: 11–22, 2013

 

【文献②】引用:今.効率的な多裂筋の筋力強化法の再考.Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)2012
 

【文献③】引用:三浦ら.腹横筋と腰部多裂筋の形態学的関連性.Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集).2015

 

【文献④】引用:正木ら.多裂筋選択的トレーニングの筋電図学的分析 ─四つ這い位での上下肢挙上における肢位の変化と重錘負荷による影響─.2012

 

【文献⑤】引用:掘切ら.多裂筋の筋機能トレーニングが坐位バランスの 安定化に及ぼす影響.理学療法科学 23(4):477–480,2008 

 

【文献⑥】引用:松尾ら.多裂筋における表面筋電図の電極貼付位置の再検討―超音波画像診断装置を用いて―Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)2017

 

【文献⑦】引用:村尾ら.腰部多裂筋の選択的活動をコンセプトとした新たなexerciseの筋電図学的解析.理学療法学2015 年 42 巻 2 号 p. 114-118
 

 

 

内腹斜筋の筋トレ(リハビリ、高齢者、起始停止、鍛え方)

こんにちは!今回は、内腹斜筋のトレーニングについて、文献を元に記載していきます!!

 

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●このブログをみて得られるメリット

・内腹斜筋のトレーニングについて、文献を一気見出来る

 

目次 

・内腹斜筋の解剖

・内腹斜筋の作用、働きについて

・触診方法、筋電図はどこにつける?

・内腹斜筋のトレーニング方法

・まとめ

・内腹斜筋の解剖

 

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【文献①】

(起始・停止)

起始:胸腰筋膜、腸骨稜、鼠径靭帯

停止:第 10 から第 12 肋骨、腹直筋鞘と白線

 

横行下部線維:鼠径靭帯、腸骨稜から起始し、骨盤内を横方向に走行 した後、腹直筋鞘に停止

 

斜行線維:上前腸骨 棘から腸骨稜にかけて起始し、斜め上方へ腹直筋鞘に向 かって走行

 

横行上部線維:体幹後方の胸腰筋膜から起始し、第 10 肋骨から第 12 肋骨に停止

 

↑細かく分類すると3つに分けられます。

繊維の違いによって役割も少し異なります↓

 

 

・内腹斜筋の作用、働きについて

 

【文献①】

▶︎ 一側の活動では体幹の同側回旋 ・ 側屈作用▶︎両側の活動では体幹屈曲

 


▶︎立位での側方体重移動においては、移動側の内腹斜筋横行下部線維が活動するとされている

 

▶︎この内腹斜筋 横行下部線維の活動は、立位での側方体重移動により移動側の下肢への荷重量が増加した際に、移動側寛骨に上方の力が加わるとともに仙骨には脊柱を介して胸郭、頭 部、両上肢の重みと移動側寛骨と下肢の重みにより下方 へ力が加わる。

 

▶︎これに伴い移動側の腸骨と仙骨からなる 仙腸関節に対して上下の剪断の力が生じ、この上下の剪断力から仙腸関節を安定させるためには、内腹斜筋横行 下部線維が活動するとされている 


▶︎座位での側方体重移動においては、非移動側の内腹斜筋斜行線維が活動するとされている

 

▶︎座位での側方体重移動における非移動側の内腹斜筋斜行線維の活動 は、座位での側方移動に伴い移動側股関節の外転による 骨盤の移動側への傾斜と体幹の非移動側への側屈が起こ るが、このときの体幹の非移動側への側屈に関与すると 報告されている

 

【文献③】

▶︎腹圧の調整および胸腰筋膜に働きかけることで体幹の安定化させる役割がある。

 

▶︎上部線維:胸郭を固定することで姿勢を安定

▶︎中部線維は腹圧を高めることで姿勢を安定

 

【文献④】

▶︎座位での骨盤前後傾中間位保持に ともない、両坐骨を介した座面からの両寛骨にかかる反 力と、仙骨が脊柱を介して胸郭、頭部、両上肢の重みによ り座面方向へ下げられようとする力が生じると考えることから、両側の仙腸関節では剪断力が働いていると考える。

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▶︎これに対して腹斜筋の活動は、両側腸骨稜を結ぶ線より下部の内腹斜筋の横方向線維がその剪断力を防ぐ作用として関与すると考える。

 

▶︎虚脱座位における両側腸骨稜を結ぶ線 より下部の内腹斜筋の横方向線維の活動は、直立座位よ りもその活動が減少する傾向を認めた。これについては骨盤が後傾位であることから、仙腸関節に生じる剪断力が減少することにともなう活動の低下と考える。

 

▶︎直立位における腹斜筋の筋活動については、 とくに両側腸骨稜を結ぶ線より下部の腹斜筋(内腹斜筋 の横方向線維の活動を反映)が関与する。直立位では両下肢支持にともない、両大腿骨頭と両臼蓋を介して両寛 骨には床からの反力がかかり、これとともに仙骨では脊柱を介して胸郭、頭部、両上肢の重みにより床面方向へ 下げられようとする力が生じると考えることから、両側 の仙腸関節では剪断力が働くと考える。

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▶︎両側 腸骨稜を結ぶ線より下部の外腹斜筋については、筋線維 が斜走していることを考慮すると、仙腸関節に生じる剪断力を防ぐ作用としての関与は少ないものと考える。

▶︎両側腸骨稜を結ぶ線より上部の内 ・ 外腹斜筋について は、直立位において胸腰椎の生理的弯曲が保たれることにともない、胸郭と骨盤間の長さを保つための一定の筋緊張を維持する程度の活動が必要になると考える。

 

▶︎立 位での側方体重移動保持時の側方体重移動側の腹斜筋の活動、および側方体重非移動側の腹斜筋の活動は、とくに 両側腸骨稜を結ぶ線より下部の内腹斜筋の横方向線維の活動が主となる結果となった。

 

▶︎これについて、体重移動保持によって移動側下肢支持となることにともない、 大腿骨頭と臼蓋を介して、移動側寛骨には反力がかかる と考える。

▶︎これとともに仙骨では脊柱を介して胸郭、頭 部、両上肢の重みと非移動側の寛骨と下肢の重みにより 床面方向へ下げられようとする力が生じると推測するこ とから、移動側の仙腸関節では剪断力が働くと考える。

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▶︎さ ら に 非 移 動 側 に つ い て は 非 荷 重 で あ る こ と か ら 、 非移動側下肢と寛骨が床面に落ちようとする働きが生じ、 非移動側の仙腸関節にも剪断力が生じていると考えられ る。

▶︎これらの要因に対し、両側腸骨稜を結ぶ線 より下部の内腹斜筋の横方向線維が、仙腸関節の剪断力 を防ぐ作用として関与すると考える 。

 

 

↑役割について簡単にまとめると、

体幹回旋(片側)

体幹屈曲(両側)

 

・内腹斜筋横行下部線維:仙腸関節の安定性

 ▶︎立位での左右重心移動

 

・内腹斜筋斜行線維

 ▶︎座位での左右重心移動(非移動側)

 

・横行上部線維:胸郭の安定

 

・中部繊維:腹圧をコントロール

 

↑こんな感じでしょうか?

 教科書上にある動作よりも、体幹の安定という役割の方が重要そうですね!

※文献により筋繊維の呼称が異なりましたので、分けてそのまま記載しています。 

 

・触診方法、筋電図はどこにつける?

 

【文献①】

▶︎Ng らは、内腹斜筋の筋活動が単独で反映される電極 貼付位置は、上前腸骨棘を指標とし、両側の上前腸骨棘 を結んだ線の下方2 cm水平線上の若干内側としている。

 

▶︎鈴木らは、内腹斜筋斜行線維の電極貼付位置は上前腸骨棘直上であり、外腹斜筋斜行線維が上層に位置すること を前提としたうえで、内腹斜筋斜行線維の筋活動につい ての評価をおこなうことができるとしている

 

▶︎したがってこれらの報告から、表面筋電図計測において外腹斜筋 の筋活動によって生じる筋活動電位に影響されること なく、内腹斜筋の筋活動が反映できる電極の貼付位置は、 内腹斜筋横行下部線維のみとなる。

 

▶︎内腹斜筋横行下部線維の筋活動を単独 で反映する電極貼付位置は、上前腸骨棘の2 cm下方、4 cm 内側である可能性が今回の研究から示唆された。

 

▶︎また、 本研究の結果において Ng ら の報告における表面筋電 図計測にて内腹斜筋の筋活動を単独で反映するとされて いる上前腸骨棘の2 cm内下方では内腹斜筋が描出されない被験者を認めた。

 

↑とのことです。

被験者によっては検出されない場合もあるみたいなので、その辺りは注意が必要ですね!!

 

・腹横筋のトレーニング方法

 

▶︎では、文献をもとに具体的なトレーニング方法について記載していきます。

 

【文献②】

▶︎内腹斜筋は、膝立ちの同側回旋で最も活動し、対側でも回旋活動が高まる。

 

▶︎体幹回旋の主動作筋としての働きと、体幹回旋時に姿勢を中間位に保持しようとする固定筋としての働きによるものが考えられる。

 

▶︎骨盤周囲、体幹が不安定なうえに、足関節での姿勢制御が制限される膝立ちでは、とくに内腹斜筋を活動させ骨盤周囲の安定性向上を図っていると考えられる。安静時の各肢位の比較では体幹筋の活動量に有意差が認められないことから、内腹斜筋の活動量を増大させるためには、座位・膝立ち・立位の各肢位をとるだけでなく、体幹回旋を行なうことが最も有効であり、とくに膝立ちでの動作が有効であると示唆された。

 

【文献④】

▶︎虚脱座位を呈することにより 腹斜筋の筋活動に低下が伺える患者に対し、腸腰筋によ る骨盤前後傾中間位保持のための股関節屈曲作用と、胸 腰椎伸展筋による胸腰椎伸展活動を促したうえで、両側腸骨稜を結ぶ線より下部の内腹斜筋の横方向線維による 両側の仙腸関節に生じている剪断力を防ぐ活動と、両側腸骨稜を結ぶ線より上部の内 ・ 外腹斜筋における一定の筋緊張が得られているかを評価する必要があると考える。

 

▶︎直立位における腹斜筋の筋活動 を考えていく場合、とくに両側の仙腸関節に生じている剪断力を防ぐ作用として関与する両側腸骨稜を結ぶ線 より下部の内腹斜筋の横方向線維の活動を評価し、アプ ローチをおこなう必要がある。

 

▶︎両側腸骨 稜を結ぶ線より上部の内 ・ 外腹斜筋については、胸腰椎の生理的弯曲が保たれることにともない、一定の筋緊張 が維持できていることが大切であり、その筋の領域の張 りを見た目や触診にて確認し、評価とアプローチをおこ なう必要があると考える。

 

▶︎歩行の立脚期に腹斜筋や多裂筋、最長筋、腸肋筋の筋 緊張異常により、骨盤周囲、胸腰部に不安定性を認める 患者に対し、著者らは立位での側方体重移動練習を実施 している。

 

▶︎この立位での側方体重移動練習をおこなうに あたり、前項で示した直立位保持にともなう両側腸骨稜 を結ぶ線より下部にあたる内腹斜筋の横方向線維の活動 の獲得は、立位レベルでの活動性向上を図るうえで必要 不可欠になると考えている。

 

【文献⑤】

▶︎下部体幹筋のトレーニング前後の筋活動を比 較することで股関節周囲筋に与える影響を調査

 

▶︎一側下肢を側方へ踏み出す動作にて、下部腹筋と股関節 周囲筋の筋活動を記録。

▶︎そして片側の内腹斜筋のみトレー ニングを行い、その後同様の動作中の筋活動を記録した。

 

▶︎筋力トレーニングは EMG フィードバッ クをしながら、内腹斜筋以外の筋収縮がないよう注意しつつ 行った。


▶︎筋活動量の比較では、検査側の内腹斜筋及び対側の内転 筋で、トレーニング後に有意に大きくなる傾向があった。

▶︎筋活動の増加は、すでに荷重 負荷の急激な増加が起こる接踵時より以前にみられており、負 荷に対する予測的活動として増加したものと推測される。

 

【文献⑥】

▶︎トレーニング動作

1)MMT3 の動作(腹斜筋)

2)座位両下肢拳上

3)座位左下肢拳上し右上肢で抵抗

4)座位両下肢大腿遠位部を 両上肢にて下方押し 5)座位右上肢を背もたれに固定し体幹左回旋

6)立位左下肢拳上し右上肢抵抗,

 

⭐️結果
▶︎腹直筋は,1)3)4)で 40%MVC 以上の筋活動が認められ,それぞれ 2)5)と有意差が認められた(p<0.05)。2)6)の動作間 では有意差は認められなかった。

▶︎右外腹斜筋は,1)で 40%MVC 以上の筋活動,3)4)5)6)で 70%MVC 以上の筋活動が認め られた。2)と他の動作,1)と 6)の動作で有意差が認められた(p<0.05)。3)4)5)6)の動作間で有意差は認められなかっ た。

▶︎左内腹斜筋は,5)6)で 40% 以上の筋活動,3)4)で 70% 以上の筋活動が認められた。2)の動作と 3)4)5)6)の動作, 1)の動作と 3)4)の動作で有意差が認められた(p<0.05)。3)4)5)6)の動作間,1)の動作と 5)6)の動作でも有意差は認 められなかった。


▶︎Hettinger らの報告によると筋力増強効果を得るためには 40%MVC以上の筋活動を必要とし,全ての筋線維を動員して強化す るためには 70%MVC 以上の筋活動を必要とされている。また等尺性収縮の場合,負荷強度は最低でも 40%MVC 以上で 15~20 秒間,70%MVC 以上で 6~10 秒間必要とされている。

 

▶︎腹直筋は 3)4)の動作を 15~20 秒間実施することで筋力増強効果が得られる可能性がある。

 

▶︎腹斜筋群は 3)4)5)6)の動作を 6~10 秒間実施することで筋力増強効果が得られる可能 性が示された。

 

▶︎腹斜筋群は背臥位でのトレーニング方法よりも 3)4)5)の動作が簡便かつ効果的で,高齢者にとっ て負担が少ないトレーニング方法となりうる可能性が考えられる。

 

↑トレーニング方法について簡単にまとめると、

 

【文献⑦】

▶︎膝関節 90°屈曲位の背臥位における片側の股関節内外旋の等尺性収縮、及びクランチと片側下肢自動伸 展挙上(ASLR)における体幹筋の活動を比較。

 

▶︎右内腹斜筋の活動電位は、右股関節内旋 20.8 ± 11.6%と左股関節外旋 13.7 ± 9.0%(p < 0.001)、右外腹斜筋は右股関節外旋 11.6 ± 9.2%、左股関節内旋 11.2 ± 9.2%( p < 0.001) で最も高い値を示した。

▶︎右腹直筋はクランチ 17.2 ± 7.3% (p < 0.001)、右多裂筋は右 股関節内旋 25.7 ± 13.4%と左股関節外旋 22.8 ± 12.5%( p < 0.001) で高い値を示した。

 

▶︎片側股関節の内外旋運動はクランチや ASLR よりも有意に同側の内腹斜筋と多裂筋、対側の外腹斜筋を活動させる ことが示された

▶︎これは、片側の股関節の回旋運動に抗して骨盤・ 体幹を安定させるためにカウンターとして、体幹筋群の活動が必要 とされるためである。

▶︎片側の股関節内外旋の負荷を利用した運動は、 下肢と体幹を連動させる通常の運動に近似した筋活動を促すトレー ニングとして利用可能と考えられる。

 

 

【具体的方法】

・座位左下肢拳上し右上肢で抵抗

・座位両下肢大腿遠位部を 両上肢にて下方押し

 

↑これらを6〜10秒キープ

 

・座位右上肢を背もたれに固定し体幹左回旋

・立位左下肢拳上し右上肢抵抗,

 

↑これらを15〜20秒キープ

 

・背臥位での片側下肢内外旋の等尺性ex(膝90°屈曲位)

 

【その他の方法】

 

・あらかじめ内腹斜筋の収縮を促す(EMGフィードバック)と、その後の動作時に筋活動が得やすい。

(一側下肢を側方へ踏み出す動作)など

↑おそらく、立位での左右への重心移動などでも効果あり?

 

・膝立て位での同側の体幹回旋は、立位や座位でのexよりも効果が高い

 

↑こんな感じですかね。

 

 

・まとめ

 

▶︎今回は、内腹斜筋のトレーニング方法について記載しました。

 

▶︎若年者のトレーニングはもっと負荷の強いものが多いと思いますが、高齢者では前述したトレーニングくらいがちょうど良いのかなと思います。

 

▶︎それではこれで終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

 

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【文献①】引用:渋谷ら.Tilt table を使用した受動的立位における 傾斜角度変化が腹筋群・下肢筋活動に与える影響.理学療法科学 35(3):467–470,2020

 

【文献②】引用:松田ら.内腹斜筋の筋活動向上を目的にした体幹筋アプローチ法の検討.第26回関東甲信越ブロック理学療法士学会.2007

 

【文献③】引用:吉川ら.姿勢変化に伴う内腹斜筋上中部線維の活動.Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)2009

 

【文献④】引用:大沼ら.体幹研究と理学療法.関西理学 13: 11–22, 2013

 

【文献⑤】引用:平川ら. 体幹筋トレーニングによる姿勢安定化の検討— 下部腹筋トレーニング前後での股関節周囲筋群の筋活動の比較 —Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)2007

 

【文献⑥】引用:遠藤ら.6 種類のトレーニング方法における腹直筋・腹斜筋活動の比較 ~高齢者に対する腹筋トレーニング方法の提案~.第50回日本理学療法学術大会2015

 

【文献⑦】引用:中井ら.股関節内外旋運動が体幹筋に及ぼす影響.Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)2018

 

腹横筋のトレーニング(インナーマッスル、作用、ドローイン、起始・停止、理学療法、高齢者)

こんにちは!今回は、腹横筋のトレーニングについて、文献を元に記載していきます!!

 

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●このブログをみて得られるメリット

・腹横筋のトレーニングについて、文献を一気見出来る

 

目次 

・腹横筋の解剖

・腹横筋の作用、働きについて

・触診方法、筋電図はどこにつける?

・腹横筋のトレーニング方法

・まとめ

・腹横筋の解剖

 

▶︎腹横筋の起始、停止は以下の通りです。

 

 

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【起始】
鼠径靭帯の外側、腸骨稜の内縁、第6〜12肋軟骨の内表面

【停止】
恥骨稜と腸恥骨線、腹直筋の腱膜〜白線

 

さらに、腹横筋は繊維ごとに働きが異なりますので、上部・中部・下部に分けられます↓

 

【文献②より】

・上部線維は第 6 肋骨または第 9 胸椎から 胸郭下端までの範囲にある線維

・中部線維は胸郭 下端から腸骨稜上縁の範囲にある線維

・下部線維 は腸骨稜上縁から恥骨結合までの範囲にある線維

 

↑このように定義されています。

 

・腹横筋の作用・働き

 

▶︎解剖学的には、以下の作用があると言われています。

 

作用:片側 体幹を同側に回旋する

     (中部・下部)

     ▶︎上部は反対側回旋

   両側   呼気に働き(補助筋)

     腹部の緊張を維持する

 

また、その他の働きも文献にいくつか記載がありましたので参照ください↓

 

【インナーユニットとしての働き】

 

▶︎側面が腹横筋、下部は骨盤底筋群、上部が横隔膜、後面は多裂筋で構成。

 

▶︎腹圧をコントロールするため、腹圧性尿失禁などにも関与している。

 

【文献①】

▶︎腹横筋は体幹の支持に重要であ り、内腹斜筋深層線維と連結して仙腸関節の剪断力に対して安定させる機能もあるとされる。

 

【文献②】

▶︎腹横筋は腹部筋の中でも体幹深部筋として脊椎の分節的な支持やコントロールにおいて重要である .

腹横筋は解剖学的な筋線維の走行の違いから上・中・下部線維に分けられ,上部は胸郭の安定性,中部は胸腰筋膜の緊張を介して腰椎の安定性(腹腔内圧の調節に関与),下部は仙腸関節の安定性に関与するといわれている

 

【文献③】

▶︎脊椎安定性に関与する体幹筋群は,特に多裂筋,腹横筋,内腹斜筋が脊椎支持性に重要である。

▶︎これらの筋は同時収縮することにより,脊柱をニュートラルポジションに安定させる働きがあり,腹圧を高める。これらの働きが腰部への負担を軽減する。

 

【文献④】

▶︎Massé-Alarie ら は腹横筋と内腹斜筋の走行が類似しているため,両筋は腰椎骨盤運動をコントロールする役割を持つ可能性を報告している.

▶︎上肢拳上運動において腹横筋,内腹斜筋は他の筋に独立し先行して活動することが確認されている。

 

【文献⑤】

腹横筋の強化の効果
▶︎腹式呼吸時に息が強く、深く吐けるようになる
咳嗽がしやすくなる
・排便や分娩時に腹圧を高めて出やすくなる

 

 

↑これらをまとめると

・片側では同側の回旋(中部・下部)

     反対側の回旋(上部)

・腹腔内圧の調節:咳嗽がしやすくなる

        :呼気がしやすくなる

        :尿・便失禁予防

・先行随伴性姿勢調節:上肢挙上時

仙腸関節の剪断力に対して安定させる機能

 (片脚立位時)

 

↑こんな感じでしょうか。動作による収縮よりも、各動作を安定させるための機能という意味合いが大きいかと思います。

 

・筋電図はどこにつける?

 

【文献②】

▶︎測定部位は解剖学的知見 とUrquhart らのワイヤー筋電図の測定部位を参考に,

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上部:第 8 肋軟骨内側縁より 2 cm内側

中部:臍 周囲上腋窩線から2.5cm内側

下部:上前腸骨棘 より 2 cm内側

 

 

↑ワイヤー筋電図ではこんな感じで位置させます。

 

表面筋電図では腹横筋を単独で検出しているような文献はほとんど見当たらず、下部については腹横筋と内腹斜筋をセットで測定していることが多いです。

 

そのため、腹横筋を触診する際には内腹斜筋とセットであると認識しておいた方が良いかと思います。

 

 

・トレーニング方法は?

 

【文献①】下肢の持ち上げ動作

▶︎腹横筋の随意収縮には骨盤後傾位の姿勢より比較的骨盤前傾位である自然立位の方が適している

 

▶︎下肢の持ち上げ動作は、支持側の腹横筋が運動側よりも有 意に活動し、支持側脊柱起立筋活動も運動側に比して有意に少ないという結果が得られた。

(支持側の方が仙腸関節への剪断力が増し、それに拮抗するように腹横筋活動が高くなったと推察される。 )

 

【文献②】上肢挙上運動

▶︎腹横筋を上・中・下部に分けてワイヤー筋電図を用 いて上肢の素早い屈曲運動に対する腹横筋の予測的 活動をみた先行研究において,上肢の運動に先行し て中・下部腹横筋の活動がみられ,上肢の運動開始後に上部の活動がみられたことにより,腹横筋の中でも中・下部は腹圧の調節や予測的姿勢制御に重要な役割があることが示唆されている .

 

▶︎腹横筋の筋厚変化に関する研究は中部をみた報告が多く ,Drawing時には50〜85%増加し ,背臥位における体幹屈曲運動では114%増加(屈曲角度↓であれば30%くらい)し ,下肢伸展挙上運動では13.1%増加することが報告されている

 

【文献②】ドローイン

▶︎Drawing では胸腰筋膜に付着し腰椎の安定 性に関与する中部線維や腸骨に付着し仙腸関節の安定性に関与する下部線維において筋厚が増加した.
▶︎Drawing 時の中部線維の筋厚増加率が上・下部に比べて有意に大きかったことから,Drawing は特に中部線維のトレーニング,すなわち腰椎の安定性向上を目的としたトレーニングとして有用である可能性が示唆された.

 

【文献②】

▶︎内腹斜筋下部線維上で腹横筋下部に相当 する部位にて表面筋電図を測定した先行研究におい て,同側回旋,Drawing,反対側回旋,体幹屈曲, 両 SLR といった体幹運動の中では,同側回旋運動が最も高い筋活動を示すことが報告されている

 

【文献③】
(1) curl-up , (2) side-bridge は腹直筋の活動が、腹横筋、内腹斜筋の活動よりも有意な傾向を示した。
また (3) bird-dog は,多裂筋,最長筋の筋活動量が他の運動に比べ有意に高かった。 (4) abdominal holling は,内腹斜筋の活動が他の運動に比べ非常に有意に高かった。

 

curl-up:腹筋運動

 

【文献⑥】

▶︎超音波診断装置を用いた研 究では,腹横筋は背臥位よりも座位,立位やつま先立ちで腹横筋厚が増大すると報告されている。

▶︎座位や立位では骨盤傾 斜角度の違いにより腹横筋厚が異なり,後傾位で腹横筋厚が増大するという報告もある

 

▶︎骨盤傾斜を中間位に保った姿勢で腹部引き込み運動を行うこ とが,腹横筋の効果的な筋収縮を促すために適している可能性が考えられた。

 

 

↑これらをまとめると、

・方法としてはドローイン、下肢挙上、上肢挙上などがあるが、同側の回旋が最も活動が大きい

・トレーニング姿勢は背臥位よりも座位・立位・つま先立ちの方が効果が高い

・骨盤は中間位で行った方が良い

 

このような感じですね。骨盤の傾斜をコントロールすることが特に大切かなと思いました。

 

・まとめ

 

▶︎今回は、腹横筋のトレーニング方法について記載しました。

 

▶︎個別での触診が困難なため、内腹斜筋などセットで鍛えるイメージの方が良さそうですね。

 

それではこれで終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

 


 

 

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【文献①】

木勢ら.立位における腹横筋トレーニングの検討第 3 報 ─超音波診断装置を用いて─.Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)2011

 

【文献②】

森ら.体幹運動による腹横筋の筋厚変化―上・中・下部線維別検討―体力科学,60(3): 319〜326(2011)

 

【文献③】

安藤ら.コアトレーニングにおける深部体幹筋活動量の筋電図学的解析―表面筋電図を用いた検討―Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)2009

 

【文献④】

大須賀.体幹インナーユニットにおける筋厚と筋活動の関連について

 

【文献⑤】

吉川ら.姿勢変化に伴う腹横筋の作用─上部線維と中部線維における筋厚の変化から─理学療法科学 23(4):535–538,2008 

 

【文献⑥】

由利ら.姿勢および骨盤傾斜の違いによる腹部引き込み運動時の腹横筋厚の変化―超音波診断装置による検討―Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)2015

 

高齢者の筋力トレーニング文献まとめ(下肢、効果、回数、負荷、転倒予防)

こんにちは!今回は、高齢者の筋力トレーニングについて、文献を元に記載していきます!!

 

※文献紹介を元にまとめていきますので、専門職向けの記事になります。

 


 

 

●このブログをみて得られるメリット

・高齢者の筋力トレーニングの考え方について、文献を一気見出来る

 

目次 

・筋力を決定させる要素

・高齢者の筋力トレーニン

・筋機能の協調性と課題志向的トレーニン

・臥位や座位での筋トレ vs 立ち上がり動作

・まとめ

・筋力を決定させる要素

 

▶︎いわゆる〝筋力〟といっても筋原繊維レベル〜関節レベルまで細分化すると以下のようになります。

 

以下文献より一部抜粋↓

 

【レベル別 筋力の要素】文献①より

筋原線維レベルではサルコメア張力に依存する.(力-長さと力-速度の関係が存在)

 

筋線維レベルでは筋線維張力に 依存(筋線維数,筋線維タイプ,筋線維横断面積が影響).

 

筋(筋束) レベルでは筋張力に依存する(収縮要素, 筋横断面積,筋長,筋アライメントが影響)

 

関節レベルでは、筋張力と腱の弾性要素によって関節トルクが生み出 される.(MMT

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MMTで筋力をはかるときは、これらの要素が全て合わさって生じているということを知っておくことが大切ですね!!

 

 

・高齢者の筋力トレーニン

 

▶︎まずは、基本的な筋力増強の原則について記載します。

 

【筋力増強の原則】文献①より

1過負荷の原則

▶︎通常使用する筋力よりも高い負荷を課さなければ筋力増強は期待できない.

 

2漸増負荷の原則
▶︎筋力増強運動を行う前に 必ず 1RM の計測を行ったうえで,その日の負荷を設定することが原則として望ましい.

 

3反復性の原則
▶︎筋力増強運動は,即時的効果は期待できない. このことは高齢者や病態を有している者ほど顕著 である.そのため,適切な負荷での筋力増強運動を反復して行うことが重要である.

 

4特異性の原則 と 5意識性の原則
▶︎ただ単に筋力増強運動を繰り返しても効果は少 なく,その目的を明確にもつ必要がある.

●運動初期での筋力発揮を高めるのか

●筋持久力を高めるのか

●運動範囲全般を通して筋力を高めるのか

 など

▶︎患者側も共通認識をもっておくことが重要である.

 

6個別性の原則
▶︎運動の効果には年齢,性差,体格,体力,技術レ ベル,経験,健康状態,精神状態など多くの要因が関係する.


7全面性の原則

▶︎特定の筋,特定の運動のみに焦点を当てることは,長期的にみると筋や運動を起こす関節に可逆的変成を起こすことにつながる可能性が高い. よって,全体的にバランスよく筋力増強を図ることが重要である.

 

▶︎筋力増強運動は通常「過負荷の原則」に基づき, 筋の収縮様式の違いによる

負荷量,頻度,回数(収縮時間)について設定する.

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↑特に高齢者については、若年者と比較すると日々の変動が大きいので、その日の1RMを把握することが大切かと思います。

 

では高齢者は、具体的にどれくらいの負荷量・頻度で行うべきなのでしょうか?

 

以下文献より一部抜粋↓

 

【高齢者の筋力トレーニング】文献①より

▶︎Hettinger の研究によれば,筋力維持には最大筋力の 20-30%以上の負 荷,筋力増強には最大筋力の40-50 %以上の負荷 が必要とされる.

 

▶︎筋力増強のための負荷の最低基準は「最大筋力の40%以上」が必要とされている.米国スポーツ医学 会のガイドラインでは,健康な成人のための筋力 トレーニング強度として 8ー12RM で最低 1セッ ト,週 2-3回の運動頻度を推奨している.

 

▶︎50-60 歳の高齢者や低体力者は 10-15RM で最低 1 セット,週 2-3回の運動頻度を推奨している.

 

▶︎高齢者やハイリスクの患者では,全身状態を十 分に把握したうえで対象者別に回数を設定することが望ましい.(積極的な個別の筋力増強ではなく全身の筋力維持・低下の予防が主な目的となるため,低負荷高頻度で実施する.)

 

▶︎高齢者や心疾患患者における抵抗運動についてのガイドラインが示されている.

高齢者の場合,8-10種類の運動を組み合わせれば 1セット(8-12回)で十分とされている .

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↑とのことでした!!

健常者とのトレーニングとの違いは、

 

・特に日々の変化を考慮して負荷量を調節する必要がある。(漸増負荷の原則)

・個別筋のトレーニングよりの全身的なトレーニングが有用(全面性の原則)

・負荷量は低負荷(10〜15RM)高頻度のトレーニングが望ましい

 

このあたりでしょうか。

 

・筋機能の協調性と課題志向的トレーニン

 

▶︎では、具体的にはどのような流れでトレーニングをしていけば良いのでしょうか?

 

まずは筋機能の協調性ついての記述を見ていきます↓

 

【筋機能の協調性】文献①

筋機能の協調性には

①力の要素

②空間的要素

③時間的要素

がある。

 

▶︎筋力を効率よく発揮するためにはこれら 3つの要素が協調的に作用することが重要である

 

↑筋力トレーニングをする際に、力の要素のみを考慮しがちですが、動作をする際には〝空間的要素〟つまり各筋肉の協調的な働きが大切になっていきます。

 

▶︎よって、トレーニングの初期に大切になるのは単一での筋収縮ではなく、効率的な各筋肉による収縮が行えているかという部分に着目する必要があります。

 

以下文献より一部抜粋↓

 

【筋力トレーニングの効果】文献②より

▶︎筋力トレーニングにおける最大筋力の増加は、筋興奮水準を決定する神経的要因と筋肥大の両因子に存在する。

 

▶︎筋力トレーニングによる筋力の増加に関する報告では、5~ 12週間の筋力トレーニングをおこなうと筋力は15~30% の増加を示すが、筋横断面積は5~10%前後の増加にとどまるとある。

 

▶︎レーニング開始後20日までは筋力の増加は筋横断面積の増加を伴わず、その後は筋力の増 加と筋横断面積の増加が並行するという報告がある。

 

▶︎この筋力トレーニングの初期にみられる筋力の増加は、筋肥大を伴わないことが多く、筋力は筋量の増加よりも神経系の適応が反応したもので、主として随意的に動員できる運動単位の数が多くなる効果によってもたらされる。

 

▶︎筋力トレーニングでは、目標となる筋 力を発揮させるための正しい方法を体得させなければ、 継続して実施しても効果的な結果を出すことは困難である。

 

【筋トレ 神経因子】(質的トレーニング)

▶︎運動単位を最大に動員させることとなり、強度は1~5 Repetition maximum(以下、RM)、セット間の休息 は3~5分、負荷や回数、セット数は少なく設定する方法 がある

 

【筋トレ 筋肥大】(量的トレーニング)

▶︎筋肥大のためには筋を活性化させて疲 労困憊にさせ、強度は5~7RMから10~12RM、セット間 の休息は1~2分、負荷や回数、セット数は多く設定する方法がある。

 

 

↑とのことです。流れとしては、

①まず第一に、動作の中で各筋肉が協調的に働いているかを確認

②動作にで筋活動が不足しているターゲット筋を抽出

③※適切な負荷量で筋力トレーニングを実施

④動作を再確認し効果判定

 

といったところでしょうか。

 

③適切な負荷量については下記記載を参照下さい↓

 

【トレーニングと代償運動】文献①より

▶︎実施する際にターゲットとする筋は,少なくとも他の周囲筋より筋収縮により発揮される張力が低いため, 高負荷となると必然的に筋収縮力の強い筋による 代償運動が生じた状態にてトレーニング課題を実施する可能性が高い.そうなると,より強い収縮力を有する筋はさらに強化され,ターゲットとした筋収縮力が弱化した筋はあまり強化されず,運動における筋機能の空間的要素のバランスがさらに障害される.

 

 

▶︎また、動作や姿勢をみて筋力を予測するには、床反力を参考にすると分かりやすいです↓

 

【床反力について】文献①より

▶︎身体に働く外力として,加速度よりも床反力が身体重心に作用する外力のほとんどを占める.

 

▶︎その瞬間の姿勢が平衡するためには,床反力からの外部モーメントとその関節を保持するための内部モーメントが釣り 合っていると考えることができる.

 

▶︎内部モーメント には筋張力の他に,靱帯などの静的構成要素,関 節面同士の接触などが影響を与えることを考慮し ても,発揮されている筋力を推測することができる

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↑このように関節を保持するための内的モーメントを推測出来れば、筋発揮が出来ていない部分が分かるので、姿勢や動作で判断するということが大切かと思います。

 

 

・臥位や座位での筋トレ vs 立ち上がり動作

 

▶︎では最後は、いわゆる筋力増加トレーニングと、動作練習(立ち上がり練習)との効果の比較を行っている文献をご紹介します↓

 

【筋トレ ✖️  立ち上がり練習】文献③より

▶︎強い負荷による 筋力増強法(PRT) は膝関節や腰痛など筋 • 骨格系に有害な影響を及ぼすとの報告や, 筋力増強は機能的制限には有効な介入方法であるが,その成果として活動障害や健康 QOL に対する 効果があるかどうかは確定していないとの指摘もある。

 

▶︎小竹らは,椅子からの立ち上がりに要した大殿筋筋力(最大筋力の 27%)と大腿四頭筋力(最大筋力の 30%)は,Hettingerが指摘する ADL で必要な 20~30%に相当することから,筋力維持には,椅子からの立ち上がり練習 で充分であり,重りを用いた抵抗運動は筋萎縮のある対象者に適さないだろうと提言している。

 

▶︎人工関節全置換術(以下 THR と略す)の患者 5 例(平均年齢 64.8 歳) に対して,壁を利用した閉鎖性運動連鎖(closed kinetic chain:CKC)を利用した片脚起立と踵・爪先立ち運動で筋疲労感をめやすに反復練習を行い,従来群(臥位や座位での 運動法を用いた群)10 例と,術後から片脚起立までの期間を比較した結果,従来群が平均 5.08 か月 に対して,壁押し群は平均 2.85 か月に短縮傾向が認められた。

 

▶︎THR 術後の患者に対する壁押し運動や,椅子からの立ち上がり動作練習の時間配分を多くすると, 荷重不安に改善がみられたことから,筋力増強運動の最終局面では,CKC の理論を応用して,片脚 起立や爪先立ち,さらに椅子からの立ち上がりの様な動作を行うことは,背臥位や座位で下肢の筋を 個別に運動する方法に比べて,より実践的な下肢筋力発揮を習得させることにつながると考えられた。

 

【立ち上がり】

健常高齢者 20 例(平均年齢 63.4 歳)において片足立ち能力からみたバランス能力(安定群と不安 定群)と筋電図(内側広筋,両側脊柱起立筋)からみた立ち上がり戦略(モーメント戦略とスタビラ イズ戦略)とを比較し,

・安定群でモーメント戦略(スキル)

・不安定群でスタビライズ戦略

を用いることを確認 した。

 

▶︎大腿骨頸部骨折患者 9 例では,モーメント戦略導入によって立ち上がり能力が改善し, モーメント戦略導入の有用性が示唆された。

 

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▶︎基本動作と ADL 項目との 関係に視点をおけば,基本動作としての立ち上がり動作は,それ自体としてではなく,広く活動と して機能した時に,初めて ADL 遂行の手段としての意義をもつことから,筋力は,関節運動,基本 動作,さらに広く活動において,機能として有効に働くことが ADL 遂行のために極めて重要となる と考えられた。

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▶︎高齢者の 転倒予防に関する研究では,Sherrington らは,大腿骨頸部 / 転子部骨折後患者に対して,家庭での荷重練習(椅子からの立ち上がりや台へのステップ練習)を行った運動群と対照群(無荷重での股関節,膝関節周囲の筋群の抵抗運動)を比較して 4 か月の RCT では,荷重練習群で大腿四頭筋 力の改善を認めている。

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▶︎最近の脳卒中ガイドラインでは,起立―着席や歩行練習など の下肢練習量を多くすることが,歩行能力の改善のために強く勧められ,健側を含む全身の筋力増強 が期待されている。

 

▶︎高齢者や片麻痺患者に対する多様な姿勢での立位バランスや,多様な高さ やステップ台を使用して,椅子からの立ち上がりや,前後,左右のステップ練習などを導入した課題 志向的トレーニング(Task-oriented training)のPRTと比較して,その有効性が検証されている

 

▶︎de Vreedeらは,抵抗運動(PRT)は,ADLへの転移(運動学習 の効果判定要因)が機能的課題プログラムに比べて低いと指摘している。

 

↑これらをまとめると

・過負荷の筋力トレーニングは、関節などの組織損傷を引き起こす可能性がある。

・筋力増強トレーニングは、ADLに直結しにくい可能性がある。

・荷重を伴う動作訓練の方が、術後の荷重不安感が消失しやすく、運動効果も高い。

 

ということですね。これらのみをみると高齢者に筋トレっているの?って思ってしまいますね。笑

 

・まとめ

 

▶︎今回は、高齢者の筋力トレーニングについて記載していきました。

 

簡単に内容をまとめると、

・高齢者は低負荷高頻度のトレーニングが良い

・まずは動作や姿勢から、活動が不足してる筋をみつけることが大切

・単一のトレーニングを過度に行うよりも、全身的なトレーニングが効果的

・荷重を伴う動作訓練の方がトレーニング効果が高い

 

といった感じになりました。

高齢者のトレーニングは、若年者がジムで筋トレをするのとはまた意味合いが違うということですね。

 

さらに個々で工夫しながら行うことが大切なので、これが最適なトレーニングというもの無さそうです。

 

以上で終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

 

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文献①引用:木藤ら.筋力増強運動の基本と実際.Jpn J Rehabil Med 2017;54:746-751

 

文献②引用:山内.筋力トレーニング.関西理学 10: 19–23, 2010

 

文献③引用:岡西ら.筋力改善のための運動学習に関する検討名古屋学院大学論集 医学・健康科学・スポーツ科学篇 第 3 巻 第 1 号 pp. 41-50引用:山内.筋力トレーニング.関西理学 10: 19–23, 2010

 

 

 

 

廃用症候群に対するリハビリテーション(ベッドレスト、筋力低下、筋萎縮)筋力トレーニング

こんにちは!今回は、臥床による筋力低下の影響について、文献を元に記載していきます!!

 

※文献紹介を元にまとめていきますので、専門職向けの記事になります。

 

 

●このブログをみて得られるメリット

・ベッドレストによる筋萎縮について、対応策が簡単に理解出来る。

 

目次 

・ベッドレストではどれくらい筋力低下する?

・健常筋と萎縮筋の筋肥大メカニズムの違い

・廃用性筋萎縮防止のためのトレーニン

・まとめ

・ベッドレストではどれくらい筋力低下する?

 

▶︎ベッドで寝ている期間が長くなると、我々の筋肉はどうなるのでしょうか?

 

以下文献より一部抜粋↓

 

【筋萎縮について】文献①

▶︎廃用性筋萎縮は不活動の開始とともに引き起こされ、不活動が開始した後最初の1週間が萎縮の割合が最も大きく、その後 萎縮率は徐々に低下する。

 

▶︎萎縮の程度は不活動により異なるが6週間のギプス固定によってヒトのヒラメ筋は約25%の減少を示す。また福永は、20日間のベッドレストによって大腿部の筋ではおよそ7~8%の筋量の減少が生じると述べている。

 

 

【不動の筋への影響】文献②

▶︎不動の筋への影響に関し,平均 67 歳の被検者の 10 日間の安静により,筋蛋白合成率が 0.077 から 0.051 と約 20 %減少していることが報告されている

 

▶︎筋の機能,形態の変化としては,

・神経筋接合部でのアセチルコリン放出量減少

・神経筋接合部やアセチルコリン受容体の形態

 変化

・ジヒドロピリジン受容体(DHPR)の mRNA や

 蛋白量増加

・筋小胞体の機能変化

・筋細胞内のカルシウムイオン濃度の増加

・アクチンの troponin C やミオシンの H 鎖,L

    鎖などの速筋型への移行

フィラメント間の位置関係の乱れ

 などが生じる。

 

▶︎廃用性萎縮は抗重力筋に起こりやすく遅筋(type 1)線維に多く見られ,遅筋線維の速筋化 もみられる

 

※抗重力筋

 脊柱起立筋、広背筋、腹直筋、腸腰筋大臀筋大腿四頭筋、下腿三頭筋

 

↑廃用性筋萎縮について簡単にまとめると、

・不動から1週間が1番筋萎縮の割合が大きい

・抗重力筋の筋力低下が著明

・遅筋繊維に多くみられる

 

このあたりが特に大切かと思います。

 

・健常筋と萎縮筋の筋肥大メカニズムの違い

 

では次は、健常筋と萎縮筋の筋肥大メカニズムの違いについてです。

 

以下文献より一部抜粋↓

 

【筋萎縮】文献③

▶︎後肢筋を萎縮させたマウスに 筋力増強運動を行わせたところ,1 週間で運動 をさせていない正常なマウスと同程度の筋線維横断面積となった。

▶︎2 週間の尾部懸垂を施した筋は,筋線維横断面積が約 1/2 まで萎縮する。従って,萎縮筋に 対する筋力増強運動は,わずか 1 週間で,筋線 維横断面積の約半分を増大させる効果があると 考えられた。

 

▶︎健常筋に対する筋力増強運動の筋肥大効果 をみた他の研究では,筋肥大が観察されるまで に 8~16 週間を要するとされる

 

↑あくまでラットによる研究ですが、わずか1週間で筋繊維の約半分の筋の面積が増加したというのはすごいですね。

 

健常筋の筋肥大よりも、萎縮筋ではかなり早期にトレーニング効果が出やすいということですね。

 

・廃用性筋萎縮防止のためのトレーニン

 

▶︎では最後に、萎縮筋に対するトレーニング効果と具体的方法についてお伝えします。

 

以下文献より一部抜粋↓

 

【文献④】

▶︎一側の手術により30日間臥床中の患者の健側下肢に対し、最大抵抗で5回のSLRトレーニングを行っても、筋力増強の効果はなく、大腿四頭筋の筋萎縮が起こった。

 

▶︎健常者9人を対象に20日間のベッドレストを行い、トレーニング群は等尺性のレッグプレスを90度屈曲位で3秒間30回最大で実施。

結果、コントロール群は筋力が10.9%低下

           筋断面積7.8%低下 

   トレーニング群は筋力低下なし

           筋断面積3.8%低下

 

▶︎20日間のベッドレスト中のレッグプレスのトレーニン

・トレーニング方法:90%MVCで10回3セット+40%MVC疲労困憊まで繰り返すレッグプレス

(毎日)

・膝伸筋の筋断面積は有意に増加(足底屈筋は12%低下。

 

↑ベッドレストでのトレーニングでは、遅筋の筋萎縮に対して、低負荷高頻度のトレーニングも必要ということですね!!

 

まとめ

 

▶︎以上、簡単にベッドレストでの筋萎縮とそのトレーニング方法についてまとめました!

 

▶︎健常筋に対してのトレーニングと、萎縮筋に対してのトレーニングは別物と考えて実施した方が良さそうですね!!

 

▶︎今後の臨床に是非活かしていきたいと思います!

 

それではこれで終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

 

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運動療法学第2版 障害別アプローチの理論と実際 [ 市橋則明 ]

 

高齢者の機能障害に対する運動療法 運動療法学各論 [ 市橋則明 ]

 

文献①

引用:山内.筋力トレーニング.関西理学 10: 19–23, 2010

 

文献②

引用:園田.不動・廃用症候群.Jpn J Rehabil Med 2015 ; 52 : 265.271

 

文献③

引用:伊東ら.筋力増強運動の効果が出現するまでの期間は萎縮筋と健常筋とで異なる.名古屋学院大学論集 医学・健康科学・スポーツ科学篇 第 4 巻 第 1 号 pp. 1-9

 

文献④

引用:市橋.運動療法学 障害別アプローチの理論と実際 第2版 pp.227-228